研究課題/領域番号 |
21K17100
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
西山 明宏 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (80550128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔感覚 / グルタミン酸 / 末梢神経損傷 / 末梢性三叉神経 / 細胞内カルシウム濃度 / TRP |
研究実績の概要 |
ヒトの歯の象牙質が露出すると激しい歯痛が発生する(象牙質痛)。象牙質には、象牙細管内容液で満たされる象牙細管が貫いて存在し、象牙細管の歯髄側内部には、自由神経終末と象牙芽細胞突起が進入している。象牙質への様々な刺激は象牙細管内液の静水圧変化を誘発し象牙芽細胞膜上の膜タンパク質を活性化する。我々は、その活性が神経伝達物質であるATP、Glutamate放出を誘発すること、さらにATPにより象牙質痛が発生することを報告した。一方でGlutamateを介した象牙芽細胞・歯髄ニューロンとの細胞間連絡も報告、また歯髄ニューロンに発現するグルタミン酸受容体を特定しており、次に役割を解明すべく進行中である。本研究は、Glutamateが歯痛変調にどのような経路で関与していくのか生理機能学的に明らかにする事を目的として進めている。 2020年度では予定していた研究内容である、ラット三叉神経節細胞に対してグルタミン酸受容体各アゴニストを用いて生理機能活性を記録する。Ca2+イメージング法を用いて代謝型グルタミン酸受容体4,9,11に対する各アゴニストを用いて細胞内Ca2+濃度を記録し①で同定したグルタミン酸受容体の生理活性を確認し、生理活性のあるものを最終的なターゲットとなる受容体をの実験数が揃ったので、現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年までの研究機関を設けており、本研究における時間は十分といえる。予定していた研究では、今後、①特定のグルタミン酸受容体アンタゴニスト環境下での象牙芽細胞への侵害刺激後に三叉神経節細胞の細胞内Ca2+濃度を記録し同定されたグルタミン酸受容体の相関をみる。象牙芽細胞に対して侵害刺激を加えることでglutamateが放出することが明らかとなっているが、三叉神経節細胞に発現する特定のグルタミン酸受容体がこのglutamateを受容することで①と同様の挙動を取るか確認する。②三叉神経節細胞に対してATPアンタゴニストの有無および代謝型グルタミン酸受容体4,9,11に特異的なアゴニスト・アンタゴニストを還流し、①同様の細胞刺激を確認し、ATP依存に伴うグルタミン酸受容体の挙動を確認。ATPが痛みの伝達物質であることは報告済みであるが、Glutamateと共闘することでどのような変調をきたすかで、Glutamateの役割の解明について追求していく。
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今後の研究の推進方策 |
進捗の内容にも記載の通り、①特定のグルタミン酸受容体アンタゴニスト環境下での象牙芽細胞への侵害刺激後に三叉神経節細胞の細胞内Ca2+濃度を記録し同定されたグルタミン酸受容体の相関をみる。象牙芽細胞に対して侵害刺激を加えることでglutamateが放出することが明らかとなっているが、三叉神経節細胞に発現する特定のグルタミン酸受容体がこのglutamateを受容することで①と同様の挙動を取るか確認する。②三叉神経節細胞に対してATPアンタゴニストの有無および代謝型グルタミン酸受容体4,9,11に特異的なアゴニスト・アンタゴニストを還流し、①同様の細胞刺激を確認し、ATP依存に伴うグルタミン酸受容体の挙動を確認していく。また、本研究から得られた結果より、本学付属病院で行われた外傷性神経障害の手術によって得られた外傷性神経腫の検体を用いて、上記に上げたグルタミン酸の発現量を確認し特異的に発現するグルタミン酸受容体を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験での検体からの病理標本の作成を業者委託について年度を超えてしまい、これが次年度使用額として生じてしまったが、現在、かかる費用について再整理を行い業者委託を行うことができ繰越助成金の金額に相当する額は消化できる予定。
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