口腔内に発生する痛みは、種々の要因が関与していることが報告されている。また顎顔面領域にも神経障害性疼痛という耐え難い継続した痛みの状態がある。これらの原因として末梢性や中枢性(中枢感作)、さらには各臓器における受容体や代謝産物が起因するものとして考えられている。私たちのグループでは基礎研究(in vitro)において口腔内の感覚(痛み)の制御に神経伝達物質としてGlutamateが関与していることを報告してきた。しかし、このGlutamateの制御が痛みの抑制なのか、増幅なのかは未だ不明である。本研究では、神経伝達物質として放出されるGlutameteがどのうような機序から起因するのかを詮索していくことに着目した。本研究では末梢神経の痛みに焦点を絞っているため、この原因として機械感受性チャネル、ATP受容体の発現の報告されている。しかしその生理学的な動態については不明である。口腔感覚の制御に機械感受性チャネルであるTRPチャネル、ATP、グルタミン酸を報告してきたが、それに加えて末梢血管に存在するCGRP受容体と三叉神経が口腔内の痛みに関連することを学会にて報告した。これは末梢神経と微小血管からのパラクラインまたはオートクラインが痛みの原因として示唆する結果となった。これらの既知のチャネル、受容体が口腔内の痛みに特異的に発現しているかどうかをin vivo研究にて末梢三叉神経の疼痛モデルを用いて免疫化学染色、多重染色を用いて発現の有無を詮索し研究を継続している。
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