テクスチャ解析は画像内の特定の領域のテクスチャ特徴量を抽出し、領域内を特徴づける手法である。現在、テクスチャ解析は医学放射線画像診断領域において、多くの組織、疾患の画像特徴量の抽出に用いられている。画像診断に定量的な指標を用いることができるようになるため、各疾患、組織のテクスチャ特徴量を確立させることの臨床的意義は非常に大きい。しかしながら歯科放射線画像診断領域において、組織、疾患の画像のテクスチャ解析を行っている研究は乏しい。本研究は、テクスチャ解析を用いて、顎顔面領域の組織、疾患の画像特徴量を抽出することを目的とした。 2021年は本研究実施計画に基づき、ワークステーションDEEP-TXAB-XW21-XAXを購入し、テクスチャ解析を行うための環境構築を行った。顎顔面領域の炎症性疾患のテクスチャ特徴量を確立させるために、各疾患の画像上の領域をセグメンテーションした後、薬剤関連顎骨壊死、歯性上顎洞炎、顎下腺炎および耳下腺炎のテクスチャ解析を行った。また、全身疾患との関連として糖尿病患者の下顎頭骨髄の変化をテクスチャ解析を行い、特徴量の違いを明らかにした。2022年は血管奇形の種類ごとのテクスチャ特徴量の違いを確立させた。また、歯科矯正治療後に歯根吸収を起こした症例の術前CT画像を用いてテクスチャ解析を行い、歯根吸収のリスク因子となるテクスチャ特徴量を確立させた。各疾患、組織のテクスチャ特徴量を抽出した後、受信者動作特性曲線を作成して解析を行い、臨床上鑑別に必要なカットオフ値を求めた。研究の結果は学会発表の他、学術論文としてすべて公表を行った。
|