本研究では,ヒトの培養細胞の全ゲノムシーケンスデータを用いてCetuximab(CTX)耐性や感受性に関与するtandem duplicationの検出を行った.Cetuximab(CTX)耐性口腔癌細胞株(SAS-R)およびその親株(SAS-P)を用いた.FastQCを用いて,シーケンスデータ(FASTQ)のクオリティチェックを行った.また,Trimmomaticを用いて低クオリティ塩基またはリードを除外した.クオリティコントロール後のシーケンスデータを,BWA memを用いて参照配列(hg38)にアライメントした.GATK MarkDuplicates を用いて,重複リードの除去を行った.アライメントデータからDELLYを用いて,SAS-RおよびSAS-Pのtandem duplicationの検出を行った.さらに,SAS-Rに特異的なtandem duplicationおよびその領域の遺伝子を検索・同定した.SAS-Pに認められたtandem duplication数は,941個(内訳;IMPRCISE:746個,PRECISE:85個,IMPRCISEとPRECISEの両方:110個)であり,SAS-Rに認められたtandem duplication数は,783個(内訳;IMPRCISE:609個,PRECISE:64個,IMPRCISEとPRECISEの両方:110個)であった.さらに,SAS-Rに特異的なtandem duplication数を検索すると,10個(内訳;IMPRCISE:10個)であった.その10ヵ所には17個の遺伝子やlncRNAが含まれていた.これらの遺伝子らが薬剤耐性に関与している可能性が考えられた.
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