研究実績の概要 |
近年 T 細胞に発現する LAG(Lymphocyte Activation Gene-3) 受容体が T 細胞の増 殖と分化を負に制御することが報告されており, 新しい免疫チェックポイント分子として検索されている。LAG3 の抗原としてはマクロファージなどの抗原提示細胞が発現する MHC クラス II 分子, 腫瘍細胞が主に発現する FGL1(Fibirinogen like protein 1) がこれまで報告されているが, 口腔扁平上皮癌においてその局在や免疫抑制機構は不明な点が多い。 われわれはこれまでの研究で, OSCC (口腔扁平上皮癌) 組織において OSCC の T 細胞抑制機に CD163+CD204+TAM(TAM:腫瘍会合性マクロファージ) が最も重要であること T 細胞アポトーシスおよび活性化リンパ球マーカー (CD25, CD69) を指標に明らかにしている (Kubota K, et al. Sci rep 2017)。 本研究では, 特にT細胞の LAG3 に注目し, OSCC の LAG3 陽性 T 細胞発現と TAM を介した LAG3 陽性 T 細胞(CD4+CD25-LAG3+Tcells)の免疫抑制機序の病態解明に焦点を当てている。 2021 年度は免疫染色に用いる抗体の条件設定を中心に行なっている。免疫染色に関しては、具体的なデータ化を今後行うことにしている。さらに腫瘍の形成促進作用と関連する組織再生分野(軟骨)に関して、当研究室ではマクロファージの極性の違いによる関与の検討を行なっている。本研究手法を応用しマウス細胞において共培養系を確立し、マクロファージの再生や免疫抑制に関与するマクロファージの検索を行なった。
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