研究課題/領域番号 |
21K17134
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邊 純奈 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00877102)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 細胞老化 / マイクロRNA / 細胞外小胞 / 顎骨壊死 |
研究実績の概要 |
①薬剤性細胞老化の解析:in vivoでは、 従来通りビスフォスフォネート製剤による顎骨壊死(BRONJ)ラットモデルを作成し、その評価(組織学的:マイクロCT撮影、HE染および免疫染色、遺伝学的:qRT-PCRにて老化関連遺伝子およびSASPの評価)をした。in virtoでは、 破骨細胞、骨髄細胞、線維芽細胞にビスフォスフォネート製剤、デノスマブ、血管新生抑制作用を持つ抗がん剤を作用させて評価(組織学的:免疫染色、遺伝学的:qRT-PCRにて老化関連遺伝子およびSASPの評価)を進めた。 ②細胞内代謝の解析:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)・乳酸の測定を予定していたが、まだ準備段階(試薬準備まで完了)で進んでいない。 ③骨髄間葉系幹細胞の細胞外小胞由来のmiRNAとその効果の解析について:網羅的解析の結果、特異的に含まれるmiRNAを幾つか同定した。中でもmiR-Xが老化関連遺伝子(Gene-Y)の発現抑制に関与していることが示された。In vitroでは、そのmiR-XをラットBRONJモデルに投与したところ、創傷治癒効果が得られた(組織学的:マイクロCT撮影、HE染および免疫染色、遺伝学的:qRT-PCRにて老化関連遺伝子およびSASPの評価)。またin vivoにおいては、Gene-Yの一部を組み込んだルシフェラーゼベクターを製作した。ルシフェラーゼアッセイによりmiR-XがGene-Yに結合して遺伝子発現に関与していることが明らかとなった。このmiRNAに関しては特許申請を目指し、手続き中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床と子育て中で時短ということもあり、実験の時間が取れなかった。そこで医員を退職し、客員研究者として所属して研究の時間を確保することとした。
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今後の研究の推進方策 |
まず、細胞内代謝の解析:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)・乳酸の測定を進める。 ・前癌病変と細胞老化の解析:in vivoでは、ラット粘膜疾患モデルの作成とその評価(組織学的、遺伝学的;p21経路への影響、SASP)。in virtoでは、角化細胞、口腔粘膜上皮細胞に刺激を加えて評価(組織学的、遺伝学的)。 ・レンチウイルスを介したトランスダクションによりEVsに特定のmiRNAを導入する(XMIR Exosome miRNA Packaging Systemの利用)。 ・MRONJモデルラットに対するmiRNAの老化抑制・創傷治癒効果(in vivo/ in vitro):目的miRNAを取り込ませた細胞外小胞(EVs)による、細胞機能のノックダウン、EVsによるmiRNA輸送経路の解析を行う。EVs受容細胞におけるmiRNA標的遺伝子の発現調節の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
子育て中で学会参加を控えた。 次年度では時間が取れない場合のin vitro実験の受託依頼も考慮に入れる予定である。
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