研究課題/領域番号 |
21K17136
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
村瀬 友里香 岡山大学, 大学病院, 助教 (70803708)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | CCN2 / AGEs / 軟骨 / 石灰化 / 内軟骨性骨化 |
研究実績の概要 |
本年度の計画は、昨年度に引き続き、内軟骨性骨化過程におけるAGEsレベルの変動、軟骨においてAGEsがCCN2の発現・産生に及ぼす影響、軟骨においてCCN2がAGEsレベルに及ぼす影響、AGEsとCCN2が内軟骨性骨化過程の“軟骨基質の石灰化”に及ぼす影響を調べることであった。 HCS-2/8において、外部から加えるAGEs-BSAの濃度によってCCN2の発現変動が異なるかを調べたが、結果のばらつきが大きく、CCN2の発現が亢進する条件を見出せなかった。昨年度報告したRAGE拮抗剤FPS-ZM1を用いた実験結果を考慮すると、CCN2の発現は、AGEs-RAGEシグナルにより誘導される可能性が推測される。AGEsは濃度依存的に細胞内に取り込まれ、細胞内の活性酸素種レベルを上昇させるとの報告がある。一昨年度報告した過酸化水素添加実験の結果を考慮すると、CCN2の発現は、細胞内に取り込まれたAGEsにより制御される可能性も推測される。 HCS-2/8においてCCN2をノックダウンし、細胞内/外AGEsレベルが増/減するかを調べたが、結果のばらつきが大きく、立証できなかった。研究協力者らは、CCN2がLRP1を介したエンドサイトーシスにより軟骨細胞内に取り込まれ、リソソーム等に局在することを報告している。一方で、AGEsはLRP1と高い相同性を示すLRP2を介したエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、リソソームで分解されるとの報告がある。細胞外に蓄積したAGEsは、CCN2とともにエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれ、リソソームへ輸送され分解される可能性が推察される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
AGEsとCCN2の制御連関については、部分的に成果が得られているが、それが軟骨基質の石灰化に及ぼす影響については、成果が未だ得られていない。 想定外の診療業務による実験の中断、使用していた試薬の販売中止、研究実施場所の工事・変更、ロシア・ウクライナ情勢に伴う物流の停滞・輸送の遅延により実験日程を立てることが困難で、一部の実験は着手することも困難であった。 以上より、進捗状況は遅れていると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 軟骨細胞において、AGEs-RAGEシグナルによりCCN2の発現が誘導されるかを調べる。 2. 軟骨細胞において、AGEsが濃度依存的に細胞内へ取り込まれるか、またそれが外部から加えるCCN2により促進されるかを調べる。 3. AGEsとCCN2の制御連関に伴って軟骨細胞のアポトーシスが誘導されるか、また誘導されたアポトーシスにより軟骨基質の石灰化が促進されるかを調べる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況が遅れているため:想定外の診療業務、使用していた試薬の販売中止、研究実施場所の工事・変更、ロシア・ウクライナ情勢に伴う物流の停滞・輸送の遅延により、本年度実施予定であったができなかった実験、開始の遅延や相次ぐ中断により結果を出すに至らなかった実験を次年度実施し、その成果を学会・研究会で発表するため、当該費用として支出する予定である。
|