研究課題/領域番号 |
21K17141
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
檜垣 美雷 広島大学, 病院(歯), 助教 (40826856)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 遺伝子ノックアウト |
研究実績の概要 |
扁平上皮癌細胞におけるHeparin-binding protein 17/FGF-Binding Protein -1(以後、HBp17)遺伝子をCRISPR / Cas9システムを用いて欠失させた細胞株を作成し、ウェスタンブロット法において当該蛋白質の消失を確認した。作成したHBp17ノックアウト扁平上皮癌細胞株(以後、HBp17-KO-SCC)においてin vitroで、親株と比較して細胞増殖能や、細胞運動能が著明に低下していた。また、同細胞をヌードマウス背部皮下に細胞を移植すると、HBp17-KO-SCC細胞において、腫瘍増殖能が親株と比較して著明に低下し、一部クローンにおいては造腫瘍性の欠失を認めた。さらにHBp17 KOによる遺伝子発現の変化を網羅的に解析するため、HBp17-KO-SCCにおけるマイクロアレイ解析及びプロテオーム解析を行った。両者の解析によって発現に差を認めた、FABP5、SPRR1A、SPRR1B、INV、LOR、FLGに関して定量PCR法にて遺伝子の発現量を解析しウェスタンブロット法及び免疫蛍光染色法にてタンパク質発現を解析した。アップレギュレートされた遺伝子およびタンパク質は、主に角化、表皮の発達に関連しており、HBp17-KO-SCCの効果を示していた。これはHBp17-KO-SCCが終末分化の誘導を介して、SCC細胞やOSCC細胞の増殖や運動性を抑制することを示唆する結果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画していた実験において想定していたデータが得られているが、予定していた計画からは若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
実臨床における扁平上皮癌の病理組織標本での分化度におけるHBp17発現及び患者血清中のHBp17発現に関する検討及び、生存率との関連性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた動物実験の進行状況が芳しくなく、遅れが生じているため。消耗品や実験動物の購入費、また情報収集のための学会、研修会参加費等に使用していく予定である。
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