研究課題/領域番号 |
21K17143
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鎌田 裕 九州大学, 大学病院, 医員 (70877068)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ID2 / STAT3 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、口腔癌におけるJAK/STAT3シグナルとID2の関連性を明らかにすることである。具体的には、OSCC細胞株を用いてJAK/STAT3がID2の発現動態に対しておよぼす影響を調べる。本研究によりJAK/STAT3シグナルの抑制がID2の発現増加をもたらす可能性がある。 JAK/STAT3シグナルの活性化によるがんの進展については多くの報告が存在する。一方、OSCC細胞株においてID2の発現量は悪性度に寄与する。そのため、JAK/STAT3シグナルとID2の関連性は示唆される場合は、そのシグナル伝達機構を明確にする必要がある。しかしながら、これまで口腔癌においてJAK/STAT3シグナルとID2の関連性について詳細な解析はない。JAK/STAT3シグナルとID2はともに口腔癌の悪性度に促進的である。しかしこれまでの研究から、JAK/STAT3シグナルの抑制がID2の発現増加につながる可能性がある。これは臨床的に治療抵抗性や耐性獲得のメカニズムとなり得る。 そこでID2発現系とID2発現抑制系のOSCC細胞を用いて、JAK/STAT3シグナル伝達経路を抑制した際のOSCC細胞の悪性度に及ぼす影響を解明することを目指す。 ID2発現OSCC細胞株の培養を行い、WB法によるSTAT3活性化およびID2発現の確認を行った。JAK阻害薬添加培地による細胞培養を行い、STAT3活性阻害の確認とID2発現レベルの変化の確認を行った。JAK/STAT3シグナル伝達経路の活性化因子であるIL-6を作用させ、STAT3活性およびID2発現についての検証を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
試薬作用時の細胞培養が安定せず、至適濃度の確認のため予備実験を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
ID2発現系とID2発現抑制系のOSCC細胞を用いて、JAK/STAT3シグナル伝達経路を各種JAK阻害薬を作用させ抑制した状態およびIL-6を作用させ活性化した状態でのID2発現の確認を行う。ID2発現の確認を行った後に、STAT3抑制状態および活性化状態でのMTTアッセイによる細胞増殖能試験と、Boyden chamber法を用いた浸潤能試験を行い、細胞悪性度への影響を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行に応じて必要物品の購入を行っており、当該年度に購入の必要がなかったものは次年度に購入する予定としている。
|