研究課題
食具を用いた捕食は、口腔だけでなく頭部や腕などの運動機能を必要とする協調運動であり、高度な機能発達が求められるが、その発達過程、協調様式、食具が与える影響などそのほとんどは明らかになっていない。本研究では、捕食動作の三次元動作解析と、機能計測とを併用し口腔機能の獲得過程にある小児の特性を明らかにすることを目的とした。本年度は昨年までに得られたデータの解析を行うとともに、プログラムを改良することで、動作の視覚化、精度の向上を行った。また、小児では協力度の問題から欠落するデータも見られたため、追加での計測を行いデータの補充を行った。そのデータ解析から、小児期の捕食動作の特徴として、いくつかの新たな知見が得られた。捕食動作についてを細分すると、①食器にもられた食品を食具を用いて「すくう」または「つかむ」動作。②食具を用いて口腔へと移送する動作。③口唇と手の協調により、口腔内に挿入された食品を舌上に取り込む動作となる。これら、各段階において、小児では①すくう動作は成人と比較し、側方移動の成分が大きく、前後にスプーンを動かす動作が少ないこと②口腔への移送までの過程では、小児はスプーンを横方向から口腔内に挿入していること。食具の移送に合わせて体幹が前傾姿勢となること。③スプーンを口腔内へと挿入されるタイミングは成人では最大開口と食具の挿入が同時になるが、小児では最大開口ののちにスプーンを挿入する児が多いこと、食具の挿入量は小児がより深く口腔内へと挿入していることが明らかとなった。これら得られた知見は、2022年度に1演題、2023年度に2演題の口頭発表を行った。現在得られたこれらのデータをまとめ、英語論文を執筆中である。
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