中顔面の陥凹は、外科的矯正治療などを必要とする大きな異常であり、家族性の症候群の症状の一つとして認められる。その一方、非家族性としても多く見られ、これはゲノムの異常が原因ではないことを意味する。本研究は、エピジェネティクス因子の一つであるmicroRNAが欠損したマウスで認められる中顔面の陥凹の発症機序を検索した。本研究の結果より、正常な顔面形成中の神経堤由来細胞では、microRNAの発現によりDNA損傷が回避されていることが示唆された。非家族性の中顔面陥凹は、通常はmicroRNAを介して回避されているはずのDNA損傷が回避されず、老化シグナルが惹起された結果引き起こされた可能性がある。
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