研究課題/領域番号 |
21K17161
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
角 伊三武 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50846847)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 口腔内細菌 / 矯正歯科治療 |
研究実績の概要 |
本研究室において継続して、矯正歯科治療を受ける患者より唾液・プラークを採取し、カリエスリスクを判定している。現在までに収集された被験者数は1000名を超えている。収集された患者の臨床パラメータおよびカリエスリスク検査の統計調査を行った。性別による比較において、唾液緩衝能・唾液pH・唾液分泌量といった、防御機構に関する検査項目については、男性の方が女性よりも高い数値を示したのに対して、Streptococcus mutans菌量・PCRといったリスク項目についても、男性の方が女性よりも高い数値を示した。これらはいずれも統計学的に有意であった(Kruskal-Wallis検定)。これらの、男性の方が口腔清掃状態が不良であるにもかかわらず、唾液緩衝能といった防御機構は良好であるという結果は、被験者数が増えても同様の結果であることが明らかになった。また、側面頭部X線規格写真(セファロ)分析の結果とも比較を行った結果、facial angleやY-axisといった、下顎骨の回転や前後的位置を評価する項目と、唾液分泌量に相関が認められ、それらは統計学的に有意であった。また、次世代シークエンスにより口腔細菌叢を網羅的に解析することも行った。CAMBRAシステムを用いて、被験者をう蝕罹患リスク別にlow risk群・middle risk群・high risk群・extreme high risk群に分類して比較したころ、extreme high risk群において異なる細菌叢を有していることが明らかとなった(parmanova解析)。今後、β多様性解析のみならず、個別の菌株についても詳細なデータ解析を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者数は増加しており、1000名を超えている。次世代シークエンス解析を行う手続き上、年度を跨ぐことになったが、サンプル回収および解析は予定通り推移している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、矯正歯科受診患者からのサンプル回収を継続していく。並行して、採取済みの臨床サンプルの細菌DNA精製および次世代シークエンス解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンスを行う上で、細菌DNAの抽出やライブラリ作製に係る手続きに想定以上に時間を費やし、年度を超えて解析を継続する必要があったため、次年度使用が生じた。今後は、現在-80°Cで保存されている臨床サンプルについても、DNA抽出・ライブラリ作製を行ったのちに、追加で次世代シークエンスを行なっていく上で使用する予定である。
|