研究課題/領域番号 |
21K17171
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
伊藤 愛子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70846401)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 咬合異常 / 筋 / 心不全 / フレイル / 疾患モデル |
研究実績の概要 |
【目的】咬合異常は口腔領域に様々な悪影響を及ぼすとともに全身、特に自律神経系に異常をきたす。また、レニンアンジオテンシン系(RAS)阻害剤であるカプトプリル(Cpt)は、心不全治療の第1選択薬として広く臨床応用され心臓リモデリングに対して抑制効果をもつ。本研究では、歯科用レジンをマウスの下顎切歯に装着したマウスモデル(Bite-opening; BO)を用いて「Cptは咬合不調和により誘発される心機能障害と心筋リモデリングを予防する」という仮説をたて、その検証を試みた。 【方法】雄性マウス(C57/BL6)、対照群、BO群、Cpt(0.1g / Lを含む飲料水)、Cpt + BOの4群に分け、BO処置2週後、心筋を摘出し、体重、筋重量、心エコーにより心機能を調べた。組織学的解析として、Masson trichrome 染色、TUNEL染色を行い、メカニズムの解析のためウェスタンブロッティングを行った。 【結果】心肥大は、4群間で有意差が観察されなかった。心エコーを用いて心機能を評価したところ、対照群と比較してBO群で有意に減少したが、(P<0.01)、Cptの併用によりBOによる心機能低下は有意に抑制された。線維化ならびに心筋細胞のアポトーシスの割合は、 BO群で有意に増加し、 BO+ Cpt群では、その効果が抑制された(P<0.01 each)。ウェスタンブロッティングより、線維化に関与するα-smooth muscle actinはBO群で有意に増加し(P<0.05)、 BO+ Cpt群では、その効果が抑制された(P<0.05)。アポトーシスを促進タンパクBaxもBO群で有意に増加し(P<0.01)、 BO+ Cpt群では、その効果が抑制された(P<0.01)。 【結論】以上の結果より、RASの活性化は、BOに起因する心疾患発症に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メカニズム解明のためのウェスタンブロッティングを行っており、おおむね良好に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
RASの活性化は、BOに起因する心疾患発症に重要な役割を果たしていることが示唆された。 詳細のメカニズムの解明のためにウェスタンブロッティングを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェスタンブロッティングを行う際の試薬等で、使用予定だったが、教育業務等で実験が滞ってしまったため。
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