研究課題/領域番号 |
21K17174
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
真山 敦 東北大学, 大学病院, 医員 (80792150)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 顎整形力 / 歯科矯正用インプラント |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究実績を以下に示す。 ①ビーグル犬に対し、歯科矯正アンカースクリュー植立の際の安定性の評価を行った。 チタン合金製歯科矯正用アンカースクリューを、手技の行いやすい口蓋部位に歯科矯正用アンカースクリューの植立を行った後、植立後の安定性として植立前、植立4週、植立8週のスクリューの安定性の評価を行ったところ、高い安定性を示していた。また安全性の評価として、植立前、植立8週、植立24週の時点でビーグル犬より血液採取を行い、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)による血液中の含有元素濃度の測定を行い、歯科矯正アンカースクリューを植立したビーグル犬の血中含有元素を計測し、生体毒素の評価を行ったところ、血液含有元素濃度に有意差は認められなかった。以上より歯科矯正用アンカースクリューはビーグル犬顎骨内において高い安定性と安全性を示したことが明らかになった。これらの予備実験の結果から、動物実験を行うための準備を整えることができた。 ②歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正的歯の移動促進効果の有効性と安全性について、論文投稿を行った(Mayama et al., 2022)。振動刺激をヒトに与えることで、矯正的歯の移動促進効果を明らかにするとともに、スクリューを固定源として歯を動した歯列模型をまた三次元模型の重ね合わせを行うことで、歯科矯正用アンカースクリューが絶対的固定源として有用であること、また安全性についても明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は、ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューの安定性と安全性の評価を行なった。歯科矯正用アンカースクリュー植立時の埋入トルク値、植立8週後の撤去トルク値、Periotest を用いたスクリューの動揺度の経時的変化の計測など ビーグル犬顎骨内に植立した歯科矯正用アンカースクリューの安定性の評価を行い、ビーグル犬顎骨内の歯科矯正用アンカースクリューに荷重を加え、安定性の評価を実施した。 植立前、植立8週後、24週後時点でビーグル犬から血液を採取し、血液中の含有元素濃度の測定を行ない、血中含有元素の計測を実施した。これらの予備実験として行った実施内容から得られた結果は想定していた予測値と類似した値が得られており、実験計画は進行しているが、当初予定であった矯正力の付与を実際に用いる動物実験は令和4年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度はビーグル犬を用いて、歯科矯正用アンカースクリューに直接顎整形力を付与する群、現在臨床で使用され ている固定式顎内装置を使用する群、何も処置を行わない群の3群を設 定し、3か月間の動物実験を行う予定である。 実験動物として5か月齢雄性ビーグル12頭を使用し、無作為に3群に分類を行う。その後、3群に対し強制力の付与を行う。30日ごとに試料採取(側面頭部X線規格写真、 印象採取、口腔内写真)を行い、90日後に屠殺を行う。屠殺の10日前にカルセイングリーン (5 mg/kg body weight)と3日前にテトラサイクリン(10 mg/kg body weight)の静脈内投与を行い 生体染色を施行する予定である。また、本研究から得られた側面頭部X線規格写真を用いて線分析・角度分析・重ね合わせを行い実験前後の歯系・骨格系の変化の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在の研究状況から、設備購入費の時期が若干遅れており、使用計画に差異が生じた。 今後の研究遂行により使用する予定である。
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