研究課題/領域番号 |
21K17177
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
上園 将慶 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80737346)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歯科矯正用アンカースクリュー / 皮質骨微小損傷 / qPCR |
研究実績の概要 |
歯科矯正用アンカースクリュー (以下、アンカースクリュー) は、種々の改良が行われているものの、一定の割合で脱落してしまうことが臨床上の大きな問題となっている。アンカースクリューの脱落に強い影響を及ぼす因子として報告されている、 “過大な植立トルクに伴う骨損傷” と “スクリュー周囲粘膜の炎症” は独立した因子のように見えるが、近年開拓された骨免疫学分野の先行研究では、骨損傷修復への免疫系の関与が報告されており、互いに影響を及ぼしあう可能性が示唆される。 そこで本研究では異なる骨損傷状態が再現されるよう最適化されたスクリューを実験動物に植立し、骨損傷状態の差異が周囲軟組織の免疫系、および炎症反応に及ぼす影響について検討する。 2022年度では、白色家兎脛骨実験モデルの検証を行った。まず、白色家兎摘出脛骨のマイクロCT撮影を行い、皮質骨の平均厚さを確認した。ついで、植立候補部位に種々の条件でスクリューを植立し、植立トルクおよび皮質骨損傷状態を評価して、植立条件の絞り込みを行った。その結果、同一形状のスクリューでも異なる損傷状態を再現できる植立条件を明らかにした。明らかにした条件で家兎の両側脛骨にスクリューを植立し、3日後に安楽死させ脛骨をスクリューと一塊に摘出した。摘出検体を塩基性フクシンで染色し、皮質骨の微小損傷に浸透させ、共焦点レーザー顕微鏡で観察し可視化した。その結果、軽度と重度の皮質骨損傷が再現性良く生じていることが明らかとなった。さらにそれぞれの検体からスクリュー周囲軟組織を採取し、qPCRを行ったところ、炎症初期に認められるサイトカインのmRNA発現状態に差が生じていることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症の収束に伴い、生体内での実験系を再開することができた。 昨年度は生体外での評価が中心となったため、遅れが生じていることは否めないが、生体外の評価で用いていた手法が生体内での評価でも有効であり、ある程度進捗を追いつかせることができたため、上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
軟組織におけるqPCRに加えて硬組織における評価を行う。 組織形態学的評価を追加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の状況を鑑みて初年度に生体外での検証を行い、計画にズレが生じたため当該助成金が生じた。 翌年度以降、動物実験の充実に予算を充てる計画である。
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