研究課題/領域番号 |
21K17178
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉澤 英之 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (50880704)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 |
研究実績の概要 |
口の「噛む機能」が姿勢の制御、歩行などの全身の「運動機能」に及ぼす作用について広く関心が寄せられているが、その脳内メカニズムは解明がなされ ていない。メカニズム解明の第一歩として、申請者らのグループはfMRI-筋電図同時計測法を咀嚼運動課題において初めて導入し、臼歯および前歯咬合で、脳内 では異なる運動制御機構が働いていることを正常咬合被験者において示した。しかし、臼歯または前歯それぞれの「噛む機能」に障害を持つ患者において働く脳の運動制御機構は未だ不明である。本研究では、臼歯部欠損および前歯部開咬患者を被験者とし、咀嚼および全身運動時の脳の運動制御機構を健常者と比較することで、臼歯または前歯で噛む機能に障害を有する患者における脳の運動制御機構を解明することを目的とする。昨年度は被験者の下顎歯列に適合するマウスピースを用意し、1. 臼歯部にシリコン塊を接着、または、2. 前歯部に弾力性のあるゴムを接着した装置を用いて、‘弱中強’三段階の力で噛む課題を対照群に該当する正常咬合被験者において行い、咀嚼筋筋電図データを取得する予備実験を行った。筋電図値については、今後fMRIを用いて取得する脳活動量との相関関係を解析し、咀嚼時の脳の運動制御機構が、臼歯部欠損患者や前歯部開咬患者などの、臼歯または前歯で噛む機能に障害を持つ患者においてどのように働いているか、詳細に検討していく予定であるが、脳のfMRIデータ採得の実験計画立案にあたり、今後の解析段階においては”噛む”という動作により生じるノイズをどのように除去していくかが課題となると予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筋電図データについては、現在正常咬合被験者において取得を進めており、今年度で2人分の予備実験データが得られた。脳のfMRIデータについては、COVID-19の影響およびによるMRIの使用制限のため、咀嚼課題遂行時のfMRIデータの取得において遅れが生じているため、今後解析段階で問題となることが予想される”噛む”という動作により生じるノイズをどのように除去するかについて検討を行った。今回と同様にノイズ除去が必要と思われる咀嚼課題の一つであるガム咀嚼課題を行ったサンプルデータを用いて検討した。ノイズ除去方法については、脳の全信号値を独立成分分析を用いて数百個の構成要素に分割した後、それぞれが真の脳活動を示す信号なのかノイズ由来の信号なのかを判断し、全信号値からノイズ成分を削除するという方法を用いたところ、サンプルデータのノイズ除去においては奏功したと思われた。
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今後の研究の推進方策 |
実際に本研究における咀嚼課題においても同様のノイズ除去方法が適用できるか検証する予定である。今後の実験において、fMRIを用いて取得する脳活動と咀嚼筋筋電図値の相関関係を解析し、咀嚼時の脳の運動制御機構が、前歯または臼歯で噛む機能に障害を持つ患者においてどのように変化するか、詳細に検討していく。まずは前歯部開咬患者において、「前歯でくわえる」課題時のEMG値と負の相関を示す脳活動の大きさを比較検討し、繊細にくわえる脳機能が前歯部開咬患者ではどのように働いているかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
fMRI実験が再開した後は実験器具、特にMRI compatibleの機器を購入する予定であるため、より高額の支出が予想されるためである。また、ノイズ除去を行うためのPCは機器自体の買い替えが効かない物品であるため、SSDの交換やバックアップ用記憶デバイスの必要性と言った、メンテナンス費用がかかることが予想されるためである。
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