研究課題/領域番号 |
21K17181
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 浩史 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10848253)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヒアルロン酸合成酵素 / 歯の形態形成 / コンディショナルノックアウトマウス / 糖鎖 / 三次元解析 |
研究実績の概要 |
歯の形態形成は、上皮細胞と間葉細胞間のシグナル伝達により部位・時間特異的に緻密に制御されているが、複雑な歯の形態を制御する機構は未だ明らかになっていない。近年、機能的糖鎖と言われているヒアルロン酸(HA)の歯の形態形成への関与が注目されているが、生体組織におけるHAの歯の形態形成を制御する仕組みについて詳細に検討した報告はない。 HAの生合成は3種類のHA合成酵素(HAS1,2,3)により部位・時間特異的に巧妙に制御されている。我々は、これまでにHAが歯の形成過程にて形成端に強く発現していること、HAS1/3ダブルノックアウトマウスにて歯の形態形成異常が生じることを見出した。 そこで本研究では、各HA合成酵素(HAS1,2,3)のノックアウトマウスから摘出した歯または歯胚を、三次元組織学的・三次元形態学的アプローチを融合させた新規手法にて解析し、HAと歯の形態形成の関わりを解明することを目的とした。 Has2 のコンベンショナルなノックアウトマウスは胎生致死であるため、まずコンディショナルなノックアウトマウスを作成する必要がある。ERT2-Creはタモキシフェン誘導性のCreであり、妊娠マウス母体への経口投与により副作用なく任意の時間でノックアウトが可能である。 現在、解析に必要な遺伝子型のマウスの個体数を確保するために、マウスの交配を進めている。また、タモキシフェンによる誘導の至適条件(投与時期、投与方法、濃度)及び解析時期及び部位の設定を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、タモキシフェン誘導性(ERT2 Cre)Has2 コンディショナルノックアウト(cKO)マウスを作製した。 現在、タモキシフェンによる誘導の至適条件(投与時期、投与方法、濃度)及び解析時期及び部位の検討を行なっている。 胎生期のマウスの解析が必要であるため、十分な個体数を確保するべく交配を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
至適条件を確立した後、HAS1, HAS2, HAS3の欠失が、それぞれ全身及び歯の形態形成にどのような影響を与えるかを解析する。 蛍光標識ヒアルロン酸結合タンパク(GFP -HABP)を用いて、歯の形態形成過程におけるヒアルロン酸の局在の時空間的解析を行う。各HASのノックアウトマウスにおいても同様に解析することにより、HAの局在および歯の形態形成の変化を観察する。解析の手法としては、まず組織切片を作製し、HE染色や免疫化学染色、in situ hybridization等による二次元的な病理組織学的解析を行う。それに加え、ライトシート顕微鏡および相同モデル解析を用いることによる三次元的な病理組織学・形態学的な解析を行う。
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