付加製造(Additive manufacturing,以下AM)や切削加工技術は歯科医療における様々な用途に用いられ,特に補綴治療に多用されている。本研究は,AM技術の一つである液槽光重合法(Vat photopolymerization)により造形されたレジン硬化体(造形物)の材料学的な特性やデジタルデータとの比較による適合精度の評価を行うことが目的である。さらに,デジタル技術を応用し製作された前歯部CAD/CAM(Computer aided designing/computer aided manufacturing)ハイブリッドレジンクラウンの適合に影響を及ぼす条件設定(支台歯テーパー角およびセメントスペースの設定値)について評価・検討を行うことを目的とした。 各種材料試験(ダイナミック硬さ試験および3点曲げ試験)の結果,試料の機械的性質は造形条件(積層ピッチおよび積層方向)に影響を受けること,また造形試料の寸法精度は造形条件やその部位に影響を受けることが示された。CAD/CAMレジンクラウンの適合については,支台歯テーパー角およびセメントスペースの設定値が影響することが示された。これらの研究成果は雑誌論文(Journal of oral scienceおよび日本歯科理工学会誌)や関連学会(日本歯科理工学会学術講演会)にて発表を行った。 AM技術を含むデジタルデンティストリーを応用した歯科材料や補綴装置の材料学的性質や適合は多くの要素が影響するため,今後適切に臨床応用するためにはより多角的な研究が必要であると思われる。
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