研究課題/領域番号 |
21K17193
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
大谷 茉衣子 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (20784797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歯根未完成歯 / 幼弱永久歯 / 歯根閉鎖 / アペキシフィケーション / 低出力超音波パルス |
研究実績の概要 |
小児歯科分野における臨床において、幼弱永久歯(根未完成歯)の齲蝕や中心結節の破折、外傷により引き起こされる歯髄病変は臨床で頻繁に遭遇するが、歯根を完成(根尖閉鎖)させる確実な治療法はない。歯根完成を誘導させる方法の確立は最重要の課題である。この臨床上の課題を解決するため、歯髄が感染し炎症が歯根部まで達しているラットの歯根未完成歯に対して、正常に近い状態に歯根を完成させる新しい治療方法の開発を試みる。炎症を機転とする病態の治癒過程に着目し、根尖部での炎症鎮静化と硬組織の誘導および歯根形成の過程を検討し、歯根根尖閉鎖に至る治癒の解明をする。 2021年度にラットを用いた歯根未完成歯の歯髄感染実験動物モデルの作製を行った。ラットの根未完成歯に人為的に感染を起こさせ歯髄や歯根部周辺組織に炎症を起こした実験モデルを作製した。人間における学童期に相当する4週齢Wistar系ラットの歯根未完成である左右上顎第一臼歯を使用した。全身麻酔下で上顎第一臼歯咬合面から直径3mm程度のラウンドバーにて髄腔まで穿孔し露髄させ、歯髄感染させる。経過を観察するために、術後1,2,3,4週で安楽死させ、上顎骨を摘出する。上顎骨はマイクロCTで撮影を行い、歯根形成状態を確認した。2022年度はモデルラットを用いたLIPUS照射の有無による治癒の評価ではなく、2023年度に計画していた治癒過程・治癒(歯根完成)段階の実験動物モデルから免疫系の細胞の同定を行った。治癒過程・治癒段階の実験動物モデルの根尖部より組織を採取した後、表面抗原を用いた免疫系の細胞の同定を行う。局所や遠隔の骨髄におけるM1からM2マクロファージへの転換など、予測される細胞の関与をFACSや免疫染色することで確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はモデルラットを用いたLIPUS照射の有無による治癒の評価ではなく、2023年度に計画していた治癒過程・治癒(歯根完成)段階の実験動物モデルから免疫系の細胞の同定を行った。当研究は、現在順調に進行しており、目標に向けた進捗状況は予定通りであるといえる。研究の成果に向けて努力している。実験や解析に必要な機器や設備の確保もスムーズに進んでおり、問題なく進めている。研究の質を高めるように努めている。また、他の研究者との交流も活発に行い、有益な情報や知見を共有することで、より良い成果を得るための努力をしている。今後も、引き続き研究の進展に全力を尽くし、より良い成果を得ることを目指していく。また、研究成果を発信する場として、学術論文や国際学会などに積極的に参加し、研究の価値を高めていくことも考えている。研究の成功に向けて、取り組んでいきたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は2022年度に計画していたモデルラットを用いたLIPUS照射の有無による治癒を評価を行う。LIPUS照射を行う個体とLIPUS照射を行わない個体について、実験を行う。LIPUS照射は照射した患部だけではなく、骨髄細胞に体液性因子の影響を与えることで全身性に効果が出ることが報告されている。実験ラット、対照ラット1の上顎第一臼歯を露髄させた後に、実験ラットは2-3週間(週5日)LIPUS照射を行ったものを安楽死させ、上顎骨を摘出する。上顎骨はマイクロCTで撮影を行い、歯根形成の状態を計測する研究計画を遂行したい。 研究論文の出版や国内外の学会発表に加え、学会などのイベントに参加することで、一般の方にも研究成果を広く紹介し、社会に貢献することを目指します。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットの根未完成歯に人為的に感染を起こさせ歯髄や歯根部周辺組織に炎症を起こした実験モデルを使用して、LIPUS照射を行う個体とLIPUS照射を行わない個体について,実験を行う。LIPUS照射は照射した患部だけではなく、骨髄細胞に体液性因子の影響を与えることで全身性に効果が出ることが報告されている。実験ラット、対照ラット1の上顎第一臼歯を露髄させた後に、実験ラットは2-3週間(週5日)LIPUS照射を行ったものを安楽死させ、上顎骨を摘出する。上顎骨はマイクロCTで撮影を行い、歯根形成の状態を計測する研究計画を遂行するためにも、次年度使用額が生じるため。
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