研究課題
本年度は、「実験1:被験者の決定、口腔・腸内細菌叢の関連を解析、ASD 患者と健常者の菌叢比較」を行う予定であった。現在、文書にて本研究に対し同意を得た20 名の当院障害者歯科外来ASD 患者※)と対照群としてASD患者の同居する兄弟20 名に対し、ASD 症状に関する問診(ASDのみ)と歯垢・唾液・便の採取を行っている。その際、全身疾患を有する者、過去3 か月間に抗生物質を服用した者は除外した。ASD 患者に対して、ASD 症状を評価するため、異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)を保護者に手渡し、客観的にスコアを記入していただいている。全員に実施する歯周病検査は、①歯周ポケット検査 ②PMA index(歯肉の炎症の広がり)③Gingival Index(歯肉の炎症の程度)④Plaque Index(歯垢の付着量)である。口腔内診査も行い、DMFT数を評定する。歯周病検査とDMFTスコアから、ASD者と健常者の歯周病リスクとカリエスリスクの関連を検討する予定である。便の採取は専用のキットを保護者に渡し、採取後は郵送にて送っていただいている。今後は、全ての対象者からのサンプルの採取を完了させ、ASD患者と健常者で、口腔内細菌と腸内細菌の菌叢に違いがあるか検討する予定である。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスの感染予防のため、同意書取得後来院が中断する患者が複数名いた。当初の計画では、本年度中にサンプルの採取を終える予定であったが、現在半数程度のサンプルがまだ採取できていない状態である。
今後、サンプルの回収を終え、解析を開始したい。また、当初の計画のプロバイオティクスの応用についても、新たに倫理申請を行い、研究を開始する予定である。
新型コロナウイルスの感染予防のため、同意書取得後来院が中断する患者が複数名いた。当初の計画では、令和3年度にサンプルの採取を終える予定であったが、現在半数程度のサンプルがまだ採取できていない状態である。そのため、令和3年度に予定されていたパイロット研究のサンプルの回収を終えていないため、ゲノム解析を開始できていない。本年度の未使用額は、パイロットスタディのゲノム解析にともなうプライマーや試薬の費用である。よって次年度以降にサンプルの回収が終了したのちに、ゲノム解析に使用する予定である。また、令和3年度に予定していた学会参加がオンライン開催となり、費用がかからなかったことも令和3年度使用額が予算より下回った理由である。令和4年度の使用計画としては、前年度に終わらなかったサンプルの回収を終え、その結果を日本障害者歯科学会と国際障害者歯科学会に発表後、英語論文として公表する予定である。また、実験2 プロバイオティクス摂取時の口腔・腸内細菌叢解析とASD 症状の評価について開始する予定であるため、試薬の購入などを予定している。また、学会発表が現地開催となる可能性も高くなると考えられるので、本研究の成果を当初の予定より広く公表するべく、パイロット研究の結果をまとめる予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件)
Special Care in Dentistry
巻: 66 ページ: 411-416
10.1111/scd.12572.