研究課題
若手研究
胎生期において,胎児は「胎盤」を介して母体側と栄養や代謝物,ガスの交換を行っている.近年,母体の口腔環境が胎児の成長発育と疾患発症に関与することが分かってきたが,その詳細なメカニズムは不明である.本研究は,歯周病菌由来の「細胞外小胞」が胎盤組織に与える影響に着目した。結果として,歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』は1) 胎盤および胎児に移行し,2) 胎盤組織形成を抑制することが明らかとなった。今後は母体由来の歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』が出生後の子の成長機能へ与える影響を明らかにしたい。
社会歯学
本研究により、母体の口腔細菌叢と胎児の成長発育とを関連付ける因子として,歯周病菌由来の「細胞外小胞」が大きな役割を果たしていることが明らかとなった。母体胎盤の血管形成のみならず、胎児体格形成にも影響を与えることから、口腔細菌叢を中心とした口腔環境が母体だけではなく,生後の子の成長発育へ影響を与える可能性が十分に考えられる。本研究結果は歯科のみならず産科・小児科学的にも重要な意義を持つ。