本年度は対象者から採取した舌苔検体を用いて添加培養実験を実施し、16S rRNA遺伝子細菌構成解析を実施した。コーヒー抽出液を添加したBMM合成培地および成分非添加のBMM合成培地に対象者から採取した舌苔検体が付着した不織布を加え、5%CO2、37℃下のもと、12時間培養を行い、培養前、培養6時間後、培養12時間後においてそれぞれ培養液を回収した。回収した検体からビーズ粉砕法を用いて細菌DNAを抽出し、細菌共通配列プライマーを用いて16S rRNA遺伝子のV1-V2領域をPCRにて網羅的に増幅後、次世代シークエンサーIon PGMを用いて増幅断片の塩基配列を解読した。その後、解読された塩基配列をもとに培養前後の舌マイクロバイオームの細菌構成を明らかにした。また、定量PCR法を用いて総細菌量を測定した。解析の結果、培養6時間後において成分添加群の総細菌量は成分非添加群と比較し有意に低かった。成分添加群は成分非添加群と比較して培養6時間および12時間後にStreptococcus属の構成比率の有意な増加が認められた。その一方で、培養6時間後にVeillonella属やHaemophilus属などの細菌属の構成比率の有意な低下が認められ、培養12時間後ではPrevotella属やHaemophilus属などの構成比率の有意な低下が認められた。以上の結果より、ポリフェノール成分の添加によって舌マイクロバイオームの細菌構成が変化する可能性が示唆された。
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