研究実績の概要 |
2023年度に研究期間で行うすべての研究を行なった。まず初めにサイエンスイラストレーターと共同で、EQ-5D-5Lの5つの次元*5つのレベル(合計25)の健康状態をイラストにより視覚化した。イラスト内の健康状態の主体は高齢者になるよう工夫を行った。次に、65歳以上の男女合計1,099名に対してEQ-5D-5Lのバリューセットを開発するためのインターネット調査を行った。調査において回答者はランダムに10のブロックに割り付けられた。健康状態ブロックはEQ-5D-5Lの日本人バリューセット開発論文(池田ら2015)の方法に準じて作成した。すべての健康状態は上記で作成したイラストを添えた。回答者がブロック内の健康状態10年間と完全な健康状態(“11111”)x年間を比較し選択する複合時間得失法+離散選択実験により行った。また、その他の項目としてEQ-5D-5L、循環器疾患、代謝疾患、肝疾患、腎泌尿器疾患など複数の併存疾患も収集した。(1)高齢者向けのバリューセット開発について:240名の複合時間得失法+離散選択実験に関する有効回答が得られた。1-健康効用値を結果変数、5項目の各水準を表すダミー変数を説明変数とし、回答者を変量効果として考慮した線形混合モデルを適用し、65歳以上の高齢者に関するEQ-5D-5Lのバリューセットを開発した。(2)併存疾患の健康効用値低下について:1,099名の全回答者に対して、健康効用値を結果変数、併存疾患を説明変数とした線形回帰モデルで健康効用値低下を算出した。本研究によって高齢者のEQ-5D-5Lのバリューセット開発および高齢一般人口における併存疾患の健康効用値低下が明らかになった。
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