研究実績の概要 |
COVID-19の感染状況は、地域の特性が関与し得る。地域特性には、医師と病床の分布、高齢者施設数、高齢化率が含まれる。日本は都道府県の単位で医療計画が策定されている。COVID-19による死亡と地域特性との関連をみるために、地域相関研究を実施した。 都道府県別のCOVID-19の罹患者数と死亡者数を公的な厚生労働省の感染者動向から得た。本研究ではCOVID-19による死亡者数をCOVID-19の罹患者数で除した値に、10,000をかけた値をCOVID-19死亡指数とした。各都道府県の病床あたりの医師数、人口10,000人あたりの高齢者施設数および高齢化率を独立変数とし、COVID-19死亡指数を従属変数として、単相関分析と多変量による重回帰分析を行った。続いて、47都道府県を人口規模で2分割して、層別解析を行った。 47都道府県のCOVID-19の死亡指数の平均は、12.7 (最小-最大:4.7-25.7)であった。単相関分析では、COVID-19死亡指数に対して病床あたりの医師数(r=-0.386; p=0.007)に負相関が、人口10,000あたりの高齢者施設数(r=0.397; p=0.006)と高齢化率(r=0.471; p=0.001)に正相関がみられた。人口下位集団での層別解析では、COVID-19死亡指数に対して病床あたりの医師数(β=-0.543; p=0.024)が負相関し、高齢化率(β=0.434; p=0.032)が正相関し、人口上位集団ではCOVID-19死亡指数と各因子との相関は弱かった。 人口規模が小さい県の集団では、COVID-19死亡に対して病床あたりの医師数に負の相関が認められ、高齢化率に正相関が認められた。この結果は、高齢化率が高く、人口規模がより小さい県で、病床機能の調整を図る必要性があることを示唆している。
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