研究課題/領域番号 |
21K17235
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
兼安 貴子 立命館大学, 生命科学部, 助教 (90875923)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 患者・市民参画 / PPI / PE:Patient Engagement / 医療技術評価 / Preference |
研究実績の概要 |
日本でも2019年から医薬品・医療機器などの医療技術評価(Health technology assessment: HTA ) が本格稼働しているが、諸外国のHTAで進む患者・市民の参画(Patient and public involvement: PPI)や、患者・市民の選好性の扱いについては、まだ十分な調査、検討がなされていない。2021年度は医療技術評価研究や医療経済評価、QOL研究、臨床試験の実施におけるPPIや選好性の扱いを整理するため、関係学会及び団体での情報収集を行った。 1) 関係学会での検討事項 医療技術評価研究(Health Technology Assessment international :HTAi)各国機関での患者・市民の参画プロセスのケーススタディとその方法論。医療経済評価(International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research :ISPOR)患者の選好の把握、及びHTAへの反映。QOL研究(International Society for Quality of Life Research :ISOQOL):患者報告アウトカム(Patient reported outcome:PRO)研究、実臨床での評価。[Patient Experience, Patient Journey, Patient values and preferencesなどとの相違。] 2) 関連団体での検討事項 臨床試験の実施(Drug Information Association :DIA):患者参画(Patient engagement)プロセスのケーススタディとその課題、臨床アウトカム評価(Clinical outcome assessment:COA)としてのPRO評価実施。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は当初、①HTAプロセスへの患者・市民参画の現状、②諸外国のHTAにおける選好性の扱いに関する文献レビューを、網羅的に実施する予定であった。しかしPPI/PEが、医療技術評価研究や医療経済評価、QOL研究、臨床試験の実施など、多くの観点から議論されていることから、文献レビューに先立ち最新状況の把握とその関係性の整理のために関係学会及び団体の会合にて情報収集を行い、レビュー戦略の詳細立案とその確認を行った。
尚、①PubMedにおける"health technology assessment" "patient and public involvement"での検索結果は68件、"health technology assessment" "patient engagement"での検索結果は54件と、当初の計画(計95件)よりも報告件数が増していることから、より詳細な情報を得られると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度以降のレビューでは ①HTAプロセスへの患者・市民参画の現状についてのレビューでは、諸外国での概要に加え、以下3つ観点から検討を行う。a)参画の対象者と選出プロセス。b)参画の質の担保。C)参画による成果の評価。 ②諸外国のHTAにおける選好性の扱い a) 米国ICER、CADTH、PBACにおける選好データの取扱い方針は、Marsh(2020)に準じ、StakeholderとMethod、概要に整理する。b) 品目ごとの報告書における選好データの取扱いは、2015年以降の米国ICER、CADTH、PBACの報告内容をDisease Area、StakeholderとMethodに類別し、NICEと比較する。PPI(Stakeholder Engagement)についても同様に米国ICER、CADTH、PBACでの報告状況をNICEと比較・検討する。c) a)b)の状況から、日本における選好性データの扱いとPPIについて考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外学会等の参加費は為替の影響を受けるため差異が生じた。次年度は余剰分を参加費の不足に充当できると考えている。
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