研究課題/領域番号 |
21K17246
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
黒田 文人 金沢大学, 附属病院, 講師 (00622812)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乳幼児突発性異常運動 |
研究実績の概要 |
研究の2年目は様々な突発性異常運動を主訴とする乳幼児・小児患者症例の集積に努めた。当院の小児神経外来を紹介受診した患者の突発性異常運動の発作時動画につき、メディカルメッセージングサービスMediLineを利用した通信システムを用いてオンライン上で検討し、その結果を患者にフィードバックした。突発性異常運動の種類としては、睡眠ミオクローヌスなどの生理的運動が多く、また自閉スペクトラム症を有する児の常同運動など、非てんかん性異常運動も多くみられた。授乳時の特定の体位によって誘発されると思われる頸部のクローヌス様の乳児突発性異常運動を2例認めたが、このようなケースは教科書的にも文献的にも記載がなく、鑑別診断が難しいところであった。診断委員会による動画解析では病的運動ではなく生理的運動であろうとの判断に至ったが、その後のフォローアップにより2例とも異常運動は消失し、また発達にも問題がなく、診断委員会の判断が妥当であったことが示された。一方、Aicardi症候群を基礎疾患に持つ女児の発作時動画については、保護者によって撮影された動画のみでは発作型の判断ができず、発作時の児の状態を診察医が詳細に聴取することによって、初めて意識減損を伴わない焦点運動発作との判断が可能となった。また撮影された動画が十分に患児の異常運動を捉えきれていなかった症例も多くあり、これらのケースから動画のみによる診断には限界があることも徐々に分かってきた。今後は動画に付随する臨床情報の共有方法や動画撮影方法のガイダンスについて検討していく必要性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力医療機関が利用可能なエントリーシステムの構築が進んでおらず、症例の集積が思うように進んでいない。また本年度はWest症候群の診療実態調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.ホームページなどを利用した症例のエントリーシステムを確立し、乳幼児突発性異常運動の症例の集積を図る。 2.引き続きオンライン診断委員会にて診断した発作時動画について分析し、オンライン上の動画診断の妥当性を検証する。 3.石川県におけるWest症候群の診療実態調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
乳幼児突発性異常運動の動画をエントリーするためのシステムを自前で整備しようとしたため、業者への支払いが生じなかったことによる。次年度には外注すべきところは業者に任せ、エントリーシステムの構築に費用を割きたい。
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