研究課題/領域番号 |
21K17251
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
國武 裕 佐賀大学, 医学部, 講師 (30404148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | コロナ禍 / コロナ前 / 高齢者 / 抑うつ症状 / 記憶力低下 / 不安 / 唾液コルチゾール / 社会資本 |
研究実績の概要 |
主な実績は、昨年度に得たデータを解析し、第118回日本精神神経学会学術総会で発表し、英語論文を作成し投稿したことである。具体的にはすでに2016年に行っていた調査と2021年度に行った調査のデータを比較・分析した。予想に反して、コロナ禍前の記憶力とコロナ禍でのうつ症状に関連はなかった。しかし、コロナ禍ではコロナ禍前と比べ、うつ症状を持つ参加者の割合が有意に増えたこと、市民参加や互酬性などがコロナ禍ではわずかではあるが、有意に減少していることなどを明らかにした。これらの結果を2022年6月に第118回日本精神神経学会学術総会で発表し、英語論文として投稿した(未掲載)。 この結果の意義は、地域在住の高齢者において、コロナ禍前に軽度の記憶力低下があっても社会的なつながりがある程度保たれていれば、抑うつ症状への影響はないかもしれないということである。本研究では社会的つながりはわずかに有意に減少していたが、先行の日本の研究と比べると、減少の程度はわずかであった。 また、参加者から採取した唾液コルチゾールを測定し、コロナ禍前後での変化を比較した。コロナ禍前後で唾液コルチゾール値は、明らかな変化は認めなかった。またコロナ前の唾液コルチゾールとコロナ禍とのうつ症状との関連は認めなかった。さらにコロナ禍前の不安とコロナ禍のうつ状態の関連を多重ロジスティック解析で分析し、有意に関連があることを明らかにした。社会的なつながりとのうつ症状との関連は、こちらでも有意ではなかった。この結果については現在英語論文作成中である。 この結果の意義は、元々不安が高い高齢者はコロナ禍という慢性的なストレスでうつ症状を呈しやすく、そのためより大きなサポートが必要であるということが明らかになったことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
元々の計画では2021年度に頭部MRIを撮像する予定であった。しかし、新型コロナ感染症による院内感染を防ぐために、撮像はできなかった。そのため「やや遅れている」とした。しかし、データ解析、学会発表、英語論文作成、投稿作業はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後新型コロナ感染症が2023年5月上旬に2類から5類に変更になる予定である。そのあとに、2021年度に撮像できなかった頭部MRIを2021年度に調査を行った96名を対象に行う予定である。さらに心理検査や血液、唾液を採取し、唾液コルチゾールや唾液オキシトシンなどを測定する予定である。されにそれらを2021年度や2016年度のデータと比較する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度未使用額が約82万と多かった。これは2021年度に予定していた頭部MRIが撮像できなかったためである。次年度はこの分を使用して頭部MRIを撮像する予定である。
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