研究課題/領域番号 |
21K17252
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
福田 龍将 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80820042)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 院外心停止 / 時間外医療 / 働き方改革 / 救命救急センター |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、救急機能を維持した働き方改革を実現するために、救急医療において働き方改革の影響が特に大きいと予想される休日・夜間等の時間外医療と患者転帰の関係を多面的・多角的に分析することである。 わが国では働き方改革が推進されており、2024年には時間外労働の上限規制は医師にも適用される予定である。これはこれまで休日・夜間等の時間外の救急医療提供体制の整備を推進してきたわが国の医療計画と相反しうるもので、救命機能を維持したまま働き方改革を実現するためには、時間外医療と転帰についての詳細な分析に基づき、スキームを構築することが必要である。 本研究では、最も緊急度や重症度が高く高度で専門的な医療を要す院外心停止患者を対象とし、1) 現状分析、2) 経年分析、3) 特殊な患者での分析、を行った。 既存レジストリデータ(消防庁救急蘇生統計)を用いた現状分析では、時間外の救急医療提供体制の整備が行われてきた現在においても、時間内と時間外では院外心停止患者の治療成績に差があることが明らかとなった。 小児心停止や外傷性心停止のように、通常の心原性心停止とは異なる治療体制(特殊な治療や複数診療科による治療など)が必要となる患者群における検討でも、夜間は生存の低下と関連することが明らかとなったが、一方で、休日に生存が低下することはなかった。 過去の小児院外心停止の研究では夜間も休日も生存の低下と関連していたが、今回の研究で休日と平日の治療成績の差は経年的に縮小傾向であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初より2年度にわたる段階的な研究の実行を計画しており、初年度においては概ね予定通り研究を進めることができた。次年度は初年度の研究結果を受けて二段階目の研究を実行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画通り、初年度の一段階目の研究結果を受けて、二段階目の研究を行う予定である。 二段階目の研究としては、全国の救命救急センターに対する休日・夜間等の時間外医療体制の調査を計画している。本調査により、時間外救命医療において患者転帰に影響を及ぼす要因を詳細に分析し、効率的・効果的に救命救急における働き方改革を実現するためのスキームの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究成果は国際会議においても公表することを計画していたが、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックの影響により、国際会議に参加するための旅費等が不要となり、支出が削減された。 次年度の二段階目の研究におけるデータ収集やデータ解析、および次年度の国際会議参加費用として使用する予定である。
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