研究課題/領域番号 |
21K17257
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
山本 健 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80837310)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヘルスリテラシー / ティーム・ティーチング / 学校薬剤師 |
研究実績の概要 |
医薬品教育に関わる資材に対する評価手法については現在確立されていない.ヘルスリテラシーが低い日本国民にとって今後,必要な医薬品情報を「入手・理解・評価・活用」する能力を獲得出来るか否かについて重点を置いた資材の評価方法の確立が必要である.加えて前述した資材の評価し,適切な教材を提供できたとしても,適切な指導が行われない限り,ヘルスリテラシー向上には至らない.そこで,文部科学省からも推奨されている「学校薬剤師が参画するT・T(ティーム・ティーチング)」に対し,現状どのような障壁があり,それらについてどのような解決方法があるかを見出すことで,今後,日本国民のヘルスリテラシーの向上に寄与できるのではないか考え、研究を進めている. 初年度は、学校教育における医薬品に関する教育及び資材について国内外の状況について調査を行った。本邦における薬に関する教育は、平成21年度より中学校学習指導要領に「医薬品の正しい使い方」として加えられ、以降も改訂が重ねられている。海外でも薬に関する教育を含めた保健教育が推進されており、米国ではNational Health Education Standardsを基に、保健教育カリキュラム分析ツール(Health Education Curriculum Analysis Tool:HECAT)が作成されている。そこで、本邦の学習指導要領と米国HECATにおける薬教育に関する記載内容を比較したところ、米国では小学校低学年相当時から、発育状況に合わせた薬に関する教育をすることが求められていた。また、学習指導要領に比べ、HECATには各年代における到達目標がより具体的に示されていた。HECATの記載内容はヘルスリテラシーの定義である「情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力」を醸成するよう、学年横断的かつ到達目標がより具体的に記されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医薬品教育資材の評価指標作成と指標に基づいた有用性評価を進める予定であった。しかし、調査を進めていくにつれ、資材の形態がさまざまあり、同一基準での評価が難しいなど、基準作成に時間を要している。健康情報を「入手・理解・評価・活用」するための教育教材として適切かという視点を持った評価指標を,国内外の状況を勘案した上で作成し,対象資材について評価を行う予定である。 また、ティーム・ティーチングに対する障壁の探索を目的としたアンケート作成及びインタビュー(パイロット)調査を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染症予防の観点から実施までできなかった。オンラインツールをうまく活用する等、検討し、滞りなく調査を進行させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
多様な資材の形態などについても勘案し、資材評価の基準に関する原案を作成する。その原案をもとに、評価を行い、ブラッシュアップすることで有用な基準となるよう検討を進める。また、ティーム・ティーチングに対する障壁の探索を目的としたインタビュー調査については、前述の通り、オンラインツールをうまく活用する等、検討し、滞りなく調査を進行させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入を検討していた「統計解析及びデータマイニング用PC」については半導体不足等の影響で納期未定となり、購入を断念した。今年度、購入予定である。その他、旅費・会議費などが新型コロナウイルス感染症予防の観点から実施できなかったため余剰となった。今年度は、感染症の状況を見てインタビュー調査など実施を検討する。
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