研究課題
「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)」は国内外に例がない治療ガイドラインの社会実装とその効果を検証する研究である。本研究はEGUIDEプロジェクトにより収集された処方データを元に、普及と教育の効果を明らかにすべく担当医の受講状況に沿って症例を比較し、講習の効果がどのような処方行動に影響を及ぼすかどうか検討することを目的としている。EGUIDEプロジェクトでは、医療の質(Quality Indicator, 以下QI)を数値で示し効果の評価を行っている。本研究にて使用する処方調査データは2016~2019年の間にEGUIDEプロジェクトに参加する医療機関から提供されたすべての統合失調症、もしくはうつ病症例の処方データ計約14000症例である。本研究では、講習受講後の医師が担当した患者(受講後)と、講習受講前の医師が担当した患者(受講前)の処方調査データを比較し、実臨床に対する講習の効果を検証した。結果、統合失調症において3つのQI(抗精神病薬単剤治療率、他の向精神薬の併用もない抗精神病薬単剤治療率、抗不安薬・睡眠薬の非処方率)、うつ病において2つのQI(他の向精神薬の併用もない抗うつ薬単剤治療率、抗不安薬・睡眠薬の非処方率)が受講前より受講後の方が有意に高かった。これらの結果から、ガイドライン講習によってガイドライン推奨治療の実施率が向上することを明らかにした。さらに、上記5つのQIについて4年間の経年的な変化を確認したところ、実施率は経年的に徐々に増加していることが明らかとなった。また、この結果をPsychiatry and Clinical Neurosciences誌に投稿し、受理された。以上より、本研究により、ガイドライン講習は治療行動の改善に有効であると証明することができた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 2件)
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