研究課題/領域番号 |
21K17262
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田頭 保彰 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70799668)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 手指衛生 / 遵守率調査 / アプリケーション / 人工知能 |
研究実績の概要 |
手指衛生遵守率の評価方法として、現行の直接観察法や手指衛生剤の使用量を元にした間接的な方法より効率的かつ正確に、また、現行の手指衛生遵守率モニタリングシステムより安価に導入かつ維持ができるシステムの開発として無料公開されているプログラミングを使って人間が手指衛生をしているか判別する手指衛生遵守率モニタリングシステムの開発を検討した。前任地で行った先行の取り組みをアプリケーション開発者と振り返りを行った。以下の点が問題点として考えられた。 ①現行の無料公開されているプログラムでは、医療従事者の動きを正確に追跡し判定することが困難(予想以上に医療従事者の動きは速い)である。②現行のプログラムでは、画像内に顔面及びきちんと写る必要がある関節部位が多く、人間としての認識をするには撮影範囲をかなり広くとる必要がある。③アプリケーションを置く機器の設置場所と判定に最適な場所が日本の病院内で設置すること自体のハードルが高いこと。④①と②をクリアするための機械学習を追加するためには多額の予算が必要であること、現状のAIやDeep leariningでできるかが不確かであること。上記より当初予定をしていたVision Framework, Create ML, Action Classifierを応用したアプリケーションの開発は困難であるという結果に達した。 しかしながら、手指衛生を医療従事者に促すアプリケーションの開発は、無料公開されているプログラミングを組み合わせて可能であること、アプリケーションが持っているUXを用いた手指衛生遵守を促進する取り組みは行われていないこと、さらに動画を撮影する形で手指衛生をモニタリングすることを併行して行えることから開発と現場への導入を2年目に行うこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進行が遅れている理由は下記の通りである。 ①2021年度に所属の異動が急遽あったこと。②新型コロナウイルス感染症に関する対応にかなりの時間を要したこと があげられる。特に、後者の第5波,6波により医療従事者の感染症の増加と院内感染対策対応に追われた。開発者とのミーティングもオンライン上でしか行うことが困難な時間がなく、開発に関するコミュニケーションがうまくいかなかった。2022年度は第6波が収束に向かい、対面でのコミュニケーションも少し可能になることが予想されるため遅れを取り戻していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の取り組みと検討によりAI技術を応用して手指衛生遵守率モニタリングシステムの開発は費用と時間の観点で困難であるということから手指衛生遵守率モニタリングシステム方法は従来の画像録画によるモニタリングとし、むしろアプリケーションが持っているUXを用いて、医療従事者の行動を変容させるようなアプリケーションの開発とビデオモニタリングを併行したアプリケーションの開発と現場への設置、さらにはアプリケーション設置前後での手指衛生遵守率の比較して検証をすることを予定している。 アプリケーションの開発については、①人物認識が可能、②動画写真の撮影と保存が可能、③手指衛生を医療従事者に促す、④手指衛生の判断を行う、⑤情報処理しやすい形でのデータ出力が可能ということを盛り込む形で検討を進めている。③については、アプリケーションが持っている能力を活かしかつ現場の医療従事者が注目をするようなシステムにする予定であり、それを開発者と進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に研究代表者が急遽所属が異動となったため、研究の当てる時間が十分になかった。また、さらに新型コロナウイルス感染症パンデミックの長期化により研究に当てる時間が減ってしまった、さらに残された時間では以前の研究の取り組みの振り返りをアプリケーション開発担当と行い、根本的な方法論の見直しが必要でありその確認等に時間を要したため、実質的な費用の発生がなかったため次年度使用額が生じた。
本年度はアプリケーションの開発の方向性もついており、開発と開発したアプリケーションを実装する機器と周辺機器の購入を行う予定である。
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