無料公開されているプログラミングの中で画像認識系のフレームワーク、機械学習モデルを使用し、医療従事者の手指衛生遵守の判定を行い、かつ、医療従事者に手指衛生を促進(リマインド)させるアプリケーションの開発を目指した。 試作のアプリケーションを開発したが、画像内に写る医療従事者の認識の制限の問題、また、複数の人間が画面に映った場合の認識の問題、人間の顔の向きによる認識の問題などに課題があることがわかった。また、医療従事者の速度に認識が追いつかない課題も明らかとなった。 手指衛生をモニタリグンする手法として、当初は人の関節の動きをみて手指衛生の有無を評価することを想定していたが、 関節を認識する感度の調整、角度の調整が難航し、デバイスが人に合わせるのではなく、人がデバイスに合わせないと判定が困難であることが判明した。 またより精度を高めるための技術開発は公表されている無料プログラミングでは困難であることが判明したため、本来想定していた手指衛生モニタリングと判定のロジックを断念せざるおえなかった。そのため、アルコール手指衛生剤のタイプは限定されるが、アルコール製剤を押す動作を画面の一部で認識することで、手指衛生をしたかどうかの判定をするというロジックに変更をしてその精度の検証を行う方針としたが、無料公開プログラミングでは、制度に限界があること、iPad miniとアルコール手指衛生剤の位置関係に制限があり、現実的に実際の病棟で設置が困難であることが判明した。それ以外にも電源の確保の問題も明らかとなった。 以上より、ipadを使用した手指衛生モニタリング及び手指衛生を促進に関するアプリケーションは、制度検証の前に断念せざるおえなかった。しかしながら、今回の経験から、画像認識における課題、デバイスの設置条件に関する知見、アルコール手指衛生剤の遵守率評価の自動化の難しさが明かとなった。
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