研究課題/領域番号 |
21K17264
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 秀幸 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任助教 (20869119)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 有機フッ素化合物 / エピゲノム / 免疫 |
研究実績の概要 |
本研究では撥水加工やテフロン加工に使わており、人体の免疫系への影響が考えられている有機フッ素化合物とT細胞のエピゲノム変化について調査している。最初のターゲットとして、先行のコホート研究より有機フッ素化合物の曝露によりアレルギー有病率の低下や感染症にかかる頻度が上がることが複数報告されていることから、免疫抑制に関わる制御性T細胞に関するエピゲノム変化について調査を進めた。 制御性T細胞のマスター転写因子としてFoxp3が知られており、転写される際にDNAの脱メチル化が起きると考えられている。先行研究より、Foxp3のうち、特にメチル化変化が起きやすい部位として、プロモーター領域とConserved non-coding sequence 2 (CNS2)が報告されている。CNS2は制御性T細胞の安定性に関わる配列と考えられており、in vitroで誘導された制御性T細胞は、胸腺由来のものと比べてCNS2のメチル化率が高く、これが安定しないことに関係していると考えられている。 以上の報告より、有機フッ素化合物の曝露による制御性T細胞への影響として転写活性化と安定性への変化のいずれか、もしくは両方に影響すると仮説をたて、2つの領域のメチル化を評価する実験系の検討を進めた。 昨年度は実験系の構築のため、先行研究及びソフトウェアを用いてメチル化解析(パイロシークエンス法)に用いるプライマーの探索を実施し、CNS2について調査に用いるプライマー及び実験の条件の構築が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CNS2の条件検討は概ね完了したが、プロモーター領域に関してプライマーや実験条件の探索が難航しており、完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
プロモーター領域に関して条件の検討を継続するが、困難であると判断される場合は、CNS2領域のみをターゲットとして、研究を進めていくことも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当センター内に前任者が購入し、使用されないまま保管されていた器具や試薬があり、実験系の検討にこれらを用いたため生じた。
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