研究課題/領域番号 |
21K17269
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
永島 慎太郎 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (60846898)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SARS-CoV-2抗体 / 抗体保有率 / 中和抗体 |
研究実績の概要 |
2019年12月新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中国で報告され、世界的な流行となった。発生から数年過ぎた現在においても終息の目途が立っておらず、地球規模で危機的な状況であると考えられる。COVID-19はハイリスクとされる高齢者や基礎疾患を有する患者で重症化・死に至る重篤な疾患である。社会に及ぼす影響は甚大であり、予防・治療における対策は最優先の課題であるといえる。しかしながら、抗新型コロナウイルス(SARS-C0V-2)抗体測定に関して確実な検査法について十分なエビデンスが示されていないのが現状である。抗S抗体は生体内でウイルス排除に直接かかわる中和抗体であるとされており、ワクチン開発等に関わっている重要な抗体である。また、一般集団の抗S抗体を保有している割合を把握することは、その集団のSARS-CoV-2に対する集団免疫(Herd Immunity)を評価する上で重要と考えられる。 本研究は、健診時の血清の保存検体を用いて、同県の一般住民における感染状況の疫学的な検討と抗SARS-CoV-2抗体試薬の性能の評価を目的とした。 初年度に当たる2021年度の研究では、まず、2019年からの広島県内の感染波について検討を行い、2019-2020年の受診時期を2020年8月1日から9月30日に限定した。その後、対象保存検体の中より、コロナ前の保存血清も残っている健診受診者の中から、2019-2020年で対象となる時期に受診しているものを約1000例拾い上げて、対象者を決定し、収集を行った。 拾い上げた血清のうち、コロナ前受診の検体についてS-Total抗体及びS-IgG抗体を測定したところ、それぞれの試薬における非特異反応があること、Commonコロナへの感染による陽性が認められないことなどがここまで明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とした広島県内で実施する職域・住民健診にて得られた血清のうち3時点(2019/12以前、2019/12~2020/12、2021/12~2022/12)のうち、全ての対象者の検体を収集し終えることができた。さらに、2019/12以前の集団に関しては、Spike Total抗体、Spike IgG抗体の測定が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始当初、SARS-CoV-2ワクチンが開発されておらず、無自覚の感染者を含めた感染規模について明らかにしていくこととしていたが、ワクチンが研究機関内に運用されたことにより、ワクチンによる抗体保有状況についても知見が得られる状況となった。ワクチン接種状況についても精査を行い、N抗体を利用した判定も組み合わせて抗体保有状況、感染防御能を詳しく検討していく。
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