研究実績の概要 |
2022年度は、高齢者の死亡場所と社会経済的要因との関連を死因類型ごとに、6,312名の高齢者の追跡データを用いて明らかにした。全体としては死亡場所と所得および教育歴との明確な関連はみられなかった。一方で、死因が悪性新生物に限った場合では、所得が低いほど自宅死亡割合が低い傾向が観察され、死亡場所の所得階層間格差が存在する可能性が明らかになった(第33回日本疫学会にて発表)。死因が臓器不全や老衰・神経疾患では上記のような傾向は観察されなかった。 また本年度は、地域在住高齢者および要介護認定者に対して調査票による調査を行い、データの新たに収集した。その結果、地域在住高齢者26,817名・要介護認定者約5,000人から希望する療養場所およびその話し合いの状況に関する設問を含む調査票への回答を得た。今後のデータ整備によって、3時点での終末期の療養場所の希望の変遷について追うことおよびその関連要因の分析が可能になることが期待できる。
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