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2021 年度 実施状況報告書

海外渡航者の感染症感染リスクの推定と輸入感染症診断システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K17321
研究機関国立研究開発法人国立国際医療研究センター

研究代表者

浅井 雄介  国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際感染症センター, 研究員 (70779991)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード理論疫学 / 感染症 / 数理モデル
研究実績の概要

海外への渡航の機会および全世界からの訪日旅行客を受け入れる機会が増加している.人の移動の増加に伴い,ますます多くの新興再興感染症が日本に持ち込まれ,感染症輸入例に端を発したアウトブレイクが毎年見られている.輸入感染症の国内での拡散を避けるためには,早期に感染症を検出することが必須であるが,国内の感染症専門医は少なく,さらに輸入感染症に精通した医師はいまだ限られている.臨床の現場で得られた知見の共有化はもちろん,渡航者一人一人の感染症感染リスクを理解した行動は不可欠である.
本研究では,各国の感染症流行状況から将来の流行状況を予測,渡航者が渡航先で流行する感染症に感染するリスクの定量化を行う.渡航先・渡航期間情報,潜伏期間から感染・発症確率を算出し,輸入感染症レジストリの症例データと統合,機械学習による感染症診断モデルを構築し医療現場の診断をサポートするシステムの開発を目的としている.
初年度は接触の異質性および人口属性を加味した感染症流行モデルの構築と,検疫データを用いた感染リスクの定量化とバリデーションを目的としていた.モデルの構築については,東京都を例に,人口属性として年齢と居住地,勤務地の情報を盛り込み,接触行列に従うAgent-based modelを構築した.10万人を仮想的に動かし,接触履歴や年齢といったパラメータから,感染が疑われる症例を抽出するアルゴリズムを実装,効率よく感染者が検出できていることを確認した.感染リスクの定量化では,ベースとなるインフルエンザのデータに加え,COVID-19の検疫データの収集を継続して行っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね研究計画どおりに研究は進んでいるが,Agent-based modelによるシミュレーションから,感染者数が母集団と比較してかなり少ない場合,推定が不安定になることがわかった.正解例に対してinputとして用いる変数が多いことがその一因として考えられる.データの特徴に応じた変数選択が必要であり,また,感染者数の多い流行初期と,感染者数が最も多くなるピーク時とで設定をかえるなど,モデルの改善が必要なことがわかった.

今後の研究の推進方策

2021年度は参加を予定していた学会がキャンセルとなったため,研究成果の発表をする機会があまりなかった.本年度はようやく学会もオンサイトで開かれるようになりつつあり,積極的な参加と研究成果の発表と情報収集を行う予定である.
今年度は構築したモデルの拡張と,J-RIDAデータを用いたデータ解析に着手するが,初年度の仮想的なモデルを用いた研究により,感染者数が少ないことで推定の精度が下がることがわかってきた. COVID-19は流行開始から2年半経つがいまだに制圧できておらず,空港検疫のデータも日々アップデートされている.COVID-19の検疫データを補助的に使ことで,諸外国の流行と感染症輸入例の関係がより明らかになると考えている.

次年度使用額が生じた理由

理由:本年度はCOVID-19の流行により,予定していた学会発表や出張ができなかった.また,モデルの構築とそのシミュレーションに焦点を当て研究を遂行したため,図書の購入が少なかったことも理由としてあげられる.

使用計画:学会発表や出張等を行う予定であるが,国内外の感染状況によっては,海外出張よりも国内出張の比重を大きくするということも考えている.アプリ開発はiOSベースのものを考えていたが,最近ではどのアプリもiOSとAndroidの両方で開発されることが多く,Android端末での開発も計画している.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 数理モデルを用いた検査・隔離の最適化2021

    • 著者名/発表者名
      浅井雄介
    • 学会等名
      第1回 生命科学における数理解析探究ワークショップ

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公開日: 2022-12-28  

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