CB1受容体アゴニストには様々な物質があり、代表的なカンナビノイドであるTHCや合成品の多くは違法薬物に指定されている。いわゆる危険ドラッグに含まれる合成カンナビノイドによる急性死亡例も報告されているが、そのメカニズムは明らかにされていない。そこで本研究では、マウス神経芽細胞由来Neuro2Aを用いて複数の合成カンナビノイドが代謝変動及び遺伝子発現変動に及ぼす影響を網羅的に解析した。 合成カンナビノイドにはCB1・CB2受容体それぞれに親和性の高い化合物2種類を用いた。これらの化合物が細胞に及ぼす細胞死と代謝活性をそれぞれ調べ、合成カンナビノイドの濃度と培養時間を決定した。メタボローム解析の結果、controlにおいてRSDが25%未満である85成分をmetaboanalyst6.0で解析したところ、コントロールと比較して合成カンナビノイド類は主成分分析(PCA)で分離していることが分かった。また、CB1受容体アゴニストよりもCB2 受容体アゴニストを用いて培養した場合ではより分離度が高く、各アゴニスト間においても分離していた。これらの成分の内64成分がANOVAによって有意に変動していた。FDRを考慮してpathway解析した結果、control vs CB1受容体アゴニストでは16のpathwayが有意に変動していた。一方CB2 受容体アゴニストを同様に解析した結果26のpathwayが変動していた。各アゴニスト間では21pathway変動していた。この場合に、TCA cycleの他、芳香族アミノ酸の代謝などが変動していた。 DNAマイクロアレイを用いてトランスクリプトーム解析を行ったところ、3761遺伝子を定量することができた。各アゴニスト間では±2以上のFold changeとFDR<0.05でフィルタリングした結果29遺伝子が変動していた。
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