近年、危険ドラッグの蔓延は社会・健康問題となっており、それらの取り締まりを行うために薬物検査において代謝物を検出することが重要である。 本研究では新規の危険ドラッグの代謝物の特定、それらの構造の解明、並びに薬物検査に適した代謝物の提言を行うことを目的とする。 今年度は合成カンナビノイドである薬物JWH-424をテストケースとして、代謝の構造推定を行った。ヒト肝ミクロソームと菌Cunninghamella elegansを用いて薬物を培養し、生成された代謝物の構造をLiquid chromatography-high resolution mass spectrometryにより推定することができた。しかし、ミクロソームと菌により生成された代謝物が一致しなかったため、菌による培養のスケールアップ、分取liquid chromatography及びnuclear magnetic resonance spectroscopyを用いた構造決定は行わなかった。薬物検査では代謝物の構造が既知であることが前提であるため、構造決定は必須であるが、構造推定で得られたデータも簡易的なスクリーニング検査として参照する目的には有用である。 この成果はForensic Toxicology誌に掲載された。 現在は、新規の合成カンナビノイド5種類の代謝物の構造推定を行っており、構造決定までつなげることが期待される。
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