研究実績の概要 |
近年、危険ドラッグの蔓延は社会・健康問題となっており、それらの取り締まりを行うために薬物検査において代謝物を検出することが重要である。 本研究では新規の危険ドラッグの代謝物の特定、それらの構造の解明、並びに薬物検査に適した代謝物の提言を行うことを目的とする。 今年度は、初めに、合成カンナビノイドという種類の5つの薬物(BZO-4en-POXIZID, BZO-POXIZID, 5F-BZO-POXIZID, BZO-HEXOXIZID and BZO-CHMOXIZID)の代謝の構造推定を行った。ヒト肝ミクロソームを用いて薬物を培養し、生成された代謝物の構造をLiquid chromatography-high resolution mass spectrometryにより推定することができた。これらの構造推定のデータは、後に行う予定の構造決定の研究を行う際に必要である。この成果はJournal of Analytical Toxicology誌に掲載された。 次に、6つの合成カンナビノイド(BZO-POXIZID, 5F-BZO-POXIZID, BZO-4en-POXIZID, BZO-HEXOXIZID, AKB48, and JWH-424)を結晶スポンジ法による単結晶X線構造解析で分析した。今回は薬物代謝物ではなく、薬物をテストケースとして、結晶スポンジ法による構造決定を行うことができたが、今回の知見を生かして、代謝物の構造決定を行うことが期待される。この成果はForensic Chemistry誌に掲載された。 現在は、菌Cunninghamella elegansによる代謝物の大量産生を行っており、nuclear magnetic resonance spectroscopyや単結晶X線構造解析による構造決定までつなげることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト肝ミクロソームによる5つの合成カンナビノイド(BZO-4en-POXIZID, BZO-POXIZID, 5F-BZO-POXIZID, BZO-HEXOXIZID and BZO-CHMOXIZID)の代謝物の構造推定を行った論文が掲載された。 更に、結晶スポンジ法による単結晶X線構造解析を用いて、BZO-POXIZID, 5F-BZO-POXIZID, BZO-4en-POXIZID, BZO-HEXOXIZID, AKB48, and JWH-424の構造決定を行った論文が掲載された。
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