研究課題/領域番号 |
21K17329
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
渡邊 慎平 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (60889632)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 薬物代謝 / 法中毒 / 危険ドラッグ |
研究実績の概要 |
近年、危険ドラッグの蔓延は社会・健康問題となっており、それらの取り締まりを行うために薬物検査において代謝物を検出することが重要である。 本研究では新規の危険ドラッグの代謝物の特定、それらの構造の解明、並びに薬物検査に適した代謝物の提言を行うことを目的とする。 今年度は、合成カンナビノイドという種類の4つの薬物(ADB-FUBIATA, AFUBIATA, CH-FUBIATA, and CH-PIATA)の代謝物の構造推定を行った。ヒト肝ミクロソームを用いて薬物を培養し、生成された代謝物の構造をLiquid chromatography-high resolution mass spectrometryにより推定することができ、それぞれ9~25の代謝物が報告された。これらの構造推定のデータは、後に行う予定の構造決定の研究を行う際に必要である。また、危険ドラッグの取り締まりのための薬物検査や臨床検査においても、これらの代謝物のうち、主要代謝物のデータを参照することで検出する一助となることが期待される。この成果はArchives of Toxicology誌に掲載された。 現在は、菌Cunninghamella elegansによる代謝物の大量産生を行っており、nuclear magnetic resonance spectroscopyや単結晶X線構造解析による構造決定までつなげることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト肝ミクロソームによる4つの合成カンナビノイド(ADB-FUBIATA, AFUBIATA, CH-FUBIATA, and CH-PIATA)の代謝物の構造推定を行った論文が掲載されたが、nuclear magnetic resonance spectroscopyや単結晶X線構造解析による構造決定まで進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
菌Cunninghamella elegansを用いて大量の薬物代謝物を産生した後、分取クロマトグラフィーにより分離・精製を行う。そのように準備した代謝物をnuclear magnetic resonance spectroscopyや単結晶X線構造解析により構造解析を行うことを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況がやや遅れているため。次年度に危険ドラッグの入手等で使用予定。
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