研究課題/領域番号 |
21K17334
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
樅野 香苗 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40335592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ワークエンゲイジメント / 組織マネジメント / 学習する組織 |
研究実績の概要 |
我が国の医療はコロナ禍、急速な高齢化、革新的な医療技術の開発と医療費の高騰など、不確実性の高い課題が山積している。看護組織は、絶えず変化しつづける課題に取り組みつつ、質の高い看護ケアの提供と人材育成、新たな働き方の創出が求められている。不確実な変化に適応する組織であるためには、組織の学習力が重要であり、看護組織においても「学習する組織」であることが求められている。 学習する組織とは、目的に向けて効果的に行動するために、集団としての意識と能力を継続的に高め、継続的に伸ばし続ける組織と定義されている。組織が継続的に学習するためには、共創的に対話する力、複雑性を理解する力、志を育成する力が必要とされている。これら3つの力は5つのディシプリン(discipline)である「自分のビジョンを明確にし、継続的に深めていくこと」「組織全体で共有される目標設定や価値の創出」「全体像をとらえ、本質を見出す」「前提を問い直し、認識を新たにする」「チーム学習;自分たちの意識と能力を協同で高めるプロセス」から構成されている。 国内における看護組織のマネジメントに関する研究では、看護管理者のバーンアウトに関する研究(Takemura et al. 2019)や、看護管理者のコンピテンシーに関する研究(Kuraoka, et al. 2019)等、看護管理者に焦点を当てた研究や、職務環境と職業継続意志との関連を調べた研究(緒方ら、2011)が報告されており、知見が蓄積されてきている。しかしながら、組織の学習力を促進するマネジメントの要因や、組織の学習力が看護師の働き甲斐などのアウトカムなどを改善するかは明らかにされてきていない。 したがって、本研究では、1.看護組織の学習に関連する要因を明らかにすること、2.看護組織の学習が看護師のワークエンゲイジメントに与える影響を明らかにすることを目的にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「学習する組織」の構成要素を評価する尺度の日本語版を開発するために原著者に許諾申請を行ったが、連絡が得られなかったため開発を一旦中止することとした。 本年度は、看護組織が掲げている理念の浸透と看護師のワークエンゲイジメントとの関連を明らかにするための調査を実施し分析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、看護組織のビジョンとワークエンゲイジメントの関連について分析を進め、関連学会や学術雑誌に投稿する予定である。 また、「学習する組織」に関して代替できる評価尺度を使用して、研究計画を再考し、次年度に調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本語版評価尺度の開発を一旦中止としたため、使用を予定していた翻訳費等を使用しなかった。来年度に別の調査を実施することになったため、調査に必要な経費を次年度に使用することとした。
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