研究課題/領域番号 |
21K17354
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 綾子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10410200)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳血流量 / 教育効果 / 映像教材 / マイクロラーニング |
研究実績の概要 |
本研究は、COVID-19の感染流行により急速に広まった、看護大学生に対するオンライン教育に用いる映像教材の提示方法の違いによる効果を、脳の活動性を表す脳血流量の測定から検証し、学習効果の高い映像教材の開発につなげるものである。脳の活動により血流量が変化するという生理学的変化を客観的な測定指標として、どのような映像教材の提示方法が、看護大学生の学習効果を高めるのかを検証する目的で行っている。 2022年度は、2021年度に撮影・編集を行ったいくつかの映像について、学習効果を測定するためのチェックリストや、学習した知識を確認するためのテストの内容の検討を行い、作成を進めた。しかしながら、対面での授業が部分的に再開されたが、教室を2分割して授業を行っている状態であり、また、常に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者が出ていた状況にあったため、授業時間外に実験を行うのは困難な状況にあった。さらに、脳血流量の計測機器のソフトウエアのバージョンアップがあり、脳血流量の計測を記録するためのタブレットもOperating Systemのバージョンアップができる機器が必要となるため、映像を流すPCとともにタブレットの購入も延期せざるを得なかった。 可能な限り、対象者と研究者が対面で研究の説明を行ったり、同意を取る作業についても電子化し、接触がないようにするための電子データの作成、同意の取り方についても検討を行い、準備を進めた。実験中の映像の視聴と、視聴の途中での脳血流量測定に必要な安静を取ることについても説明動画を作成し、研究者と言葉を交わさずに測定を進められるようにインストラクションの映像の作成を行い検討を進めた。倫理審査についても受審中で修正を進めている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度も2021年度同様に、COVID-19の感染拡大により、教室の人数制限があり、常時感染者が出ていたため、大学の滞在時間なども関係して、授業時間外にデータ収集を行える状況ではなかったため、実験が行えず、課題の進捗が遅れている。 脳血流量の測定機器は、額額に装着するものであり、感染予防の観点から対象者の不安がないよう配慮する必要があった。実験に必要な時間も、説明を含めて1時間程度必要なこと、ある程度の静寂が維持できる場所で行うには、換気により騒音の発生などにも配慮が必要なため、実験を行うことが困難であったことが大きな理由でもある。さらに、脳血流量測定器とタブレットをWifi接続ではあるが複数台使用するため、実験の対象者の間隔を確保する必要がある。しかし、データの測定途中に、実験機器のデータ収集の不具合やタブレットとの接続に不具合が生じた際に修正する必要があるが、この状況への対応を検討するなどが必要となり、研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、COVID-19が感染症の5類となり、対面授業がほぼ再開された状態であるため、研究対象者が映像学習をするのに適した時期が9月から10月であるため、その時期にデータ収集が行えるよう、使用する映像やPCなどの物品準備を進める。 研究対象者が不安なく、実験に参加できるよう、実験環境や機器の消毒、感染予防策についても十分な配慮を行っていく。しばらく、対面で人と関わることを控えていた年代が研究対象者であり、実験への参加者が少ない可能性が考えられる。そのため、研究対象者が興味を持てるような映像の内容に調整を行い、研究に参加することの利益を得られるように配慮することと、募集の方法を電子媒体でも行うなど研究対象者の確保を行っていく。看護大学生1年生を対象としているが、対象者の確保が困難な場合は、2年生も対象者に含めるなどの検討も行う。 実験に使用する映像については、専門知識の提供を受け、最終的な内容の確認を行う。さらに、4台の脳血流量測定機器と4台のタブレットの操作、脳血流測定機器、対象者が使用するコンピューターのインストラクションや不具合の調整など、同時に起こった際にも対応できるよう必要な研究者および補助者の数についても再度確認し、円滑にデータ収集が行えるよう進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
映像用のPC4台、脳血流量計測のためのタブレット4台の購入を予定していたが、実験が行えなかったこと、また、脳血流量測定機器のソフトウエアのバージョンアップにより、タブレットのOperating Systemが新しいソフトウエアに対応できるようにするために、購入を延期しなければならなかった。そのため、次年度使用額が生じている。さらに、実験が行えなかったことで、研究対象者や研究補助者への謝金の支払いも生じていないために次年度使用額が生じている。 2023年度は、COVID-19の状況も変わり、実験が行えると考えているため、実験に必要な機器の購入と謝金等の支払いにより、予定通りの支出が行えると考えている。
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