研究課題/領域番号 |
21K17393
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
大橋 麗子 名古屋女子大学, 健康科学部, 講師 (90612614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 障害児入所施設 / 虐待 / ネグレクト / 社会的養護 / 障害児 / ライフストーリーワーク / 真実告知 / 自立支援 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、虐待やネグレクト、親の疾病や不在等により、社会的養護を目的に障害児入所施設に入所する子どもを対象とした「ライフストーリーワーク」実践モデルを構築することである。障害児入所施設における「ライフストーリーワーク」実践の現状を明らかにし、「ライフストーリーワーク」実践モデルを構築することを目指す。 当該研究期間の初年度である令和3年度は、児童養護施設等で先進的に取り組まれているライフストーリーワーク実践の内容と、障害児入所施設におけるライフストーリーワーク実践状況調査のための情報収集ならびに具体的調査内容の検討に取り組んだ。 これまでに取り組まれてきた「ライフストーリーワーク」実践や研究の情報を収集し、社会的養護にある子どもの「ライフストーリーワーク」における課題や動向を把握した。また、ライフストーリーワーク実践報告会等に参加し、ライフストーリーワーク実践者や障害をもつ子どもの虐待問題に取り組む実践家および専門家と意見交換を行った。ライフストーリーワーク実践の導入では、生い立ちの整理や真実告知の実施に慎重な立場の職員がいること、その理由としては告知後の子どもの混乱に対する危惧が大きいことから、生活場面での支援体制を準備しておく必要があること、また、実施方法も多様であるため、具体的にどのように実施していくのか方法論的知識と手法についての周知が必要であること等を確認できた。一方で、ライフストーリーワークには、真実告知のような子どもが事実を知る側面だけではなく、過去未来も含めた自身のライフストーリーを作り上げていく側面があり、日常生活場面での実践が主となる実践もありうる。今後の調査においては、実践状況調査に加え、障害児入所施設においては、どのような実践方法に対するニーズが存在するのか調査する必要があることを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度である令和3年度は、児童養護施設などで先進的に取り組まれているライフストーリーワーク実践の内容と、障害児入所施設におけるライフストーリーワーク実践状況調査のための情報収集に取り組んだ。新型コロナウイルス感染症の影響により、対面による学会参加が叶わなかったものもあり、直接実践家および研究者からの意見聴取の機会は限定的となった。そのため、調査内容の妥当性について、学会や研究会において発表をし、その内容を検討する機会を得ることができなかった。しかし、先行研究およびこれまでの自身の研究結果と、今年度行った実践家および研究者からの意見交換により、施設を対象とした質問紙調査の調査内容の大方の目途をつけることはできたと考える
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、障害児入所施設職員を対象としたライフストーリーワーク実践状況と職員のライフストーリーワークに対する認識について質問紙調査を実施する予定である。質問紙調査実施に向けて、質問紙の作成、倫理審査を受ける等準備を進めていく。また、これまで実施してきた障害児施設職員を対象とした自身の研究についてもライフストーリーワークの視点から見直し、今後の調査に取り入れていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、対面による学会参加が叶わなかったものもあり、直接実践家および研究者からの意見聴取の機会は限定的となった。そのため、調査内容の妥当性について、学会や研究会において発表等により、実践家および研究者からの意見を得て、その内容を検討する機会を得ることができなかった。 次年度以降には、対面以外の方法も検討して通信環境を整備しながら、質問紙調査の内容の妥当性を確保するために、実践家および研究者から意見聴取を行い、現状に即した調査を実施できるよう準備したい。そのための通信環境整備と旅費、交通費、また調査準備費用に充てたい。
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