研究課題/領域番号 |
21K17409
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永田 優馬 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (90832824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 認知症 / 重度認知症 / QoL / 生活 |
研究実績の概要 |
本研究では,重症度特異的なQuality of Life (QoL) 評価尺度を用い, 関連する因子を同定し,さらに長期的変化を検討することで,ケア・リハビリテーション戦略の立案の一助となることを目的とする。 R3年度は,新たな重度認知症者用のQoL評価尺度の試作版を作成した。内容妥当性の検討のため,試作版の作成は項目プール作成と項目抽出,そして内容妥当性の検討といった三段階から構成された。尺度作成のグループメンバーは老年精神医学に精通する医師,作業療法士8名から構成された。項目プールとして既存のQoL評価尺度であるQuality of Life-Alzheimer Disease,Health-related quality of life questionnaire for the elderly with dementia,Quality of Life in Late Stage Dementia-Jから集め、追加項目として複数の文献から項目を引用した。各項目は,Volicer L(1999)が提唱する重度認知症者のQoL構造“精神症候”“医学的課題”“意義ある活動”の3次元で項目を分類・抽出した。および,複数の除外基準を設定し,基準を満たす項目を除外した。グループメンバーによるレビューの結果、3次元(精神症候、医学的課題、意義ある活動)、21項目から構成される重度認知症者用の新たなQuality of Life尺度 - Quality of Life for Severe Dementia in Residential setting (QoL-SDR) を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年から流行しているCOVID-19の影響により、研究活動の自粛要請や、研究協力施設における外部者の立ち入り禁止におよび対面での調査の実施が制限されていることにより、臨床データを新たに取得することが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度では、重度認知症者のQoLに関連する要因の検討、縦断的検討のための評価を引き続き行う予定である。ただし、COVID-19が影響し、試作版のQoL尺度を標準化したのちに縦断的検討を実施する場合、感染拡大時には研究が中断されることも予想され、当初予定していた計画に大幅な遅れが生じる可能性がある。そのため、既存の標準化された重度認知症者評価尺度を用いた縦断的検討を先に実施するなど、研究方法の再検討や、予定対象者数の見直し、分析手法の変更を検討し、こうした事態に対応する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、予定していた国際学会や国内学会への参加を見送った状況であり、未使用額が生じた。また、臨床データの取得にも影響が生じていたため、予定していた物品の購入を見送った状況である。そこで、次年度では研究手法の変更や新たな分析手法を導入すること、およびオンライン学会などでの発表を行うことで、今後の感染拡大状況にも対応できるようにし、未使用額はそれらの実施に必要な物品の購入費用、および研究活動費用に充てることとしたい。
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