研究課題/領域番号 |
21K17413
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
加利川 真理 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (50612404)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 在宅 / 配偶者 / グリーフケア / 終末期がん患者 |
研究実績の概要 |
今年度は、がん患者を在宅で看取った配偶者の介護経験の評価およびがん患者のQOLの認識と、配偶者の精神健康の関連について明らかにした。がん患者を在宅で看取った配偶者55名に質問し調査を実施した。調査内容は、対象者の属性である年齢と性別、がん患者の介護期間、死別後から現在の期間、そして、終末期のがん患者を介護した遺族による介護経験の評価には、Caregiving Consequence Inventory(以下、CCI)、終末期がん患者のQOLに関する遺族の評価については、Good Death Inventory(以下、GDI)を用いた。精神健康においては、日本語版GHQ精神健康調査票12項目(以下、GHQ12)を用いた。分析方法は、終末期がん患者のQOL、介護経験の評価の関連をMann-Whitney's U検定を用いて比較した。 分析対象は、有効回答数47とした。配偶者の年齢は、平均が70.1±11.2歳で、死から現在までの期間は、9.7±6.5月であった。18名を高群(GHQ12≧4)、29名を低群(GHQ12≦3)に分け、それとCCI(介護肯定感・負担感)、GDIとの間に有意な差がみられたのは、CCI(p=0.043)と、介護負担感(p=0.034)であった。「GDI」(p=0.32)においてはGHQ12の間に有意な差は見られなかった。これらの結果から、終末期がん患者を介護した配偶者遺族による介護経験の評価(介護肯定感と負担感)は、現在の精神健康度に関連していることが示された。遺族訪問などを通して、介護肯定感や負担感について把握することが、配偶者遺族の精神的健康度のアセスメントに繋がることが示された。また、看護師は、配偶者ががん患者の介護中から、身体的、精神的、時間的、経済的な側面に負担感を抱いていないか把握し、それらを軽減するようアプローチする必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ収集が順調に進まず、当初予定していたデータ数に到達しないことから、研究計画書の検討をしていたため。
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今後の研究の推進方策 |
1)在宅がん患者の死別前後の配偶者の介護認識と複雑性悲嘆の関連性を明らかにするため、自宅で看取りを行う配偶者に対しデータ収集を継続する。 2)配偶者の肯定的な介護認識に対する訪問看護の役割に関する構成要素を分析するため、訪問看護師を対象にデータ収集をし、分析を行う。 3)がん患者の介護中から死別後の過程において、配偶者の肯定的な介護認識に着目した訪問看護支援に関連する要因について明らかにするため、訪問看護師を対象にデータ収集をし、分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたデータ収集数に到達せず、データ収集を継続していることから残高が生じている。そのため、今年度は、データ収集を継続することと、予定していた研究計画を並行して進めていく予定である。
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