研究課題/領域番号 |
21K17419
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研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
滝本 幸治 奈良学園大学, 保健医療学部, 専任講師 (60621513)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Motoric Cognitive Risk / 主観的認知機能低下 / フレイル / 地域在住高齢者 |
研究実績の概要 |
2021年度は、ベースライン調査としてMotoric Cognitive Risk Syndrome(MCR)の判定基準である歩行速度低下および主観的認知機能低下に関する評価をはじめ、関連する運動機能評価と精神・心理機能評価、社会参加に関する評価を実施する計画であった。結果として、コロナ禍の影響により対面調査が制限されたため、必要な運動機能および精神・心理機能面の評価は未実施に終わった。一方で、自治体や医療機関・介護保健サービス提供事業所および住民主体型運動教室等との協力体制の調整を進め、質問紙調査については65歳以上の地域在住高齢者431名に対して実施できた。また、一部KDBデータとの照合が可能であることも確認できた。 後期高齢者(75歳以上)に注目すると、解析対象であった58名(平均80.9歳、男性32名、女性26名)について、質問紙によるフレイル判定(Frailty Screening Index)では、フレイル5名(8.6%)、プレフレイル41名(70.7%)、健常12名(20.7%)であった。先行知見と比較し、後期高齢者におけるフレイル有病率としては低値であったため、選択バイアスがかかっている可能性があり、今後の調査の留意点である。 また、MCRの判定基準のひとつである主観的認知機能低下について、151名の回答結果は、前期高齢者(65-74歳)では、主観的認知機能低下あり18名、低下なし63名であったのに対し、後期高齢者では、同低下あり31名、低下なし39名であり、年齢と主観的認知機能低下に有意な関連性を認めている(カイ二乗検定、p<0.01)。なお、MCRMCR判定基準の歩行速度低下については、対面計測不可であったため、2021年度は未実施である。 今後は、幅広く対象者をリクルートするとともに、運動機能評価等を含めた対面調査の実施に向けた準備を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況について、協力諸機関(自治体及び医療機関、他)との調整は計画通り進んでいるが、コロナ禍による対面での運動機能および精神・心理機能評価などが未実施であったため、やや遅れている状況である。一部、質問紙調査等は実施できたものの、課題を検討するために必要な情報をすべて得ることは叶っていない。 繰り返される感染者増減の波により、自治体事業(介護予防事業)や住民主体型運動教室の開催が不安定であったため、計画が先延ばしになったことが影響している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度実施予定であったベースライン調査を引き続き実施する必要がある。そのため、継続して協力機関・事業所等との調整を進める。加えて、コロナ禍で安全に対面調査が実施できるよう、感染予防対策を十分に講じることを前提とした計画を推進する。また、協力機関の要望を踏まえながら、計画的に開催日時・会場調整、参加者のリクルートを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による対面調査の未実施により、対象者への謝礼金について執行できていないことが主な理由である。 次年度(2022年度)は、厳格な感染予防策を講じたうえで、対面での運動機能および精神・心理機能評価等を計画し、対面計測の目途が立った際に使用する計画である。
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