研究課題/領域番号 |
21K17419
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研究機関 | 奈良学園大学 |
研究代表者 |
滝本 幸治 奈良学園大学, 保健医療学部, 専任講師 (60621513)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Motoric Cognitive Risk / 主観的認知機能低下 / 歩行速度低下 / 社会参加 / フレイル / 地域在住高齢者 |
研究実績の概要 |
Motoric Cognitive Risk Syndrome(MCR)は、高齢者のさまざまな有害事象の発生リスクを高めるが、高齢者の社会参加(社会生活)に及ぼす影響や、フレイルをはじめとする既知のリスク要因より影響力があるのか明確にする必要がある。 2022年度は、2021年度に引き続きベースライン調査期であり、自治体等と共同して質問紙調査及び運動機能評価を計画・実施した。また、2021年度はコロナ禍に加え母集団に対する解析対象者数が限定されたことを鑑み、より確実に解析対象者を確保するために自治体事業担当者等と調査方法について再考した。結果として計170名に対して調査を実施し、解析対象者は昨年比84名増の142名(平均74.9±6.4歳、男性69名、女性73名)について検討を行った。質問紙によるフレイル判定(Frailty Screening Index)では、フレイル17/142名(12.0%)、プレフレイル89/142名(62.7%)、健常36/142名(25.4%)であった。対象者数増により、フレイル該当率等も先行知見の多くのコホートと近似値となっている。 MCRの判定基準のひとつである主観的認知機能低下については、主観的認知機能低下ありの者は57/142名(40.1%)であった。MCRの他方の判定基準である歩行速度低下については、コロナ禍による計測制限により参考として主観的歩行速度低下を適応すると該当者は68/142名(47.9%)であった。両者(主観的認知機能低下+歩行速度低下)をあわせもつ者は31/142名(21.8%)であった。また、後期高齢者の質問票による社会参加に関する質問にネガティブな回答をした者は18/142名(12.7%)であったが、主観的認知機能低下+歩行速度低下をあわせもつ者の中では4/31名(12.9%)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍対応の体制が整いつつある中で調査を実施してきたが、感染者拡大期に自治体事業(健診事業)や住民主体型運動教室の開催が不安定であったため、計画が先延ばしになっている状況である。質問紙調査の一部に関しては、郵送による自記式アンケート調査が叶ったが、対面による運動能力測定などが不十分な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進捗状況が遅延している最も大きな課題は、対象者の確保である。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことを受け、調査対象エリアおよび協力機関を拡大する予定である。研究の特性上、介護保険未認定者である必要があるため、主に自治体事業(住民健診等)や、住民主体型運動教室への働きかけを展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は学術大会のオンライン化により、一部の学術大会を除き旅費を要しなかったため。加えて、コロナ禍による測定機会の制限により、謝礼が生じなかったため。 使用計画として、必要に応じて対面学会参加・発表を行うとともに、研究成果を論文投稿する準備を進める。また、積極的に対面による測定機会を設けることとする。
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