研究課題/領域番号 |
21K17433
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
奥田 博子 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (50294236)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 保健師 / 新興感染症 / 役割 / 専門能力 / 文献検討 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,新興感染症対策における日本の保健所保健師に求められる役割と,役割を遂行するために必要なコンピテンシーを解明し,系統的な専門能力獲得に資するコンピテンシーモデルの開発を図ることである。 初年度は、新興感染症対策において保健師に求められる役割と、役割を遂行するために必要な能力の解明の基礎として国内外の文献検討を中心に取り組んだ。その結果、2019年12月に中国で初めて報告され、その後パンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症(COVI-19)以前の、国内の感染症担当保健師に関する文献は、結核、HIV、集団食中毒症例等が主であった。新興感染症対策においては2009年に国内初の感染者が発見された新型インフルエンザ(A/H1N1型)時の事例報告が散見されるにとどまった。国外文献においても新興感染症対策に特化した保健師の役割や、必要な専門能力開発に言及した研究は殆どなかった。そのため、保健師による新型コロナウイルス感染症(COVI-19)対策における文献検索の結果は、今後発生が危惧される国内の新興感染症対策に備えた保健師の役割の明確化を図るための貴重な基礎データとなり意義がある。一方、初年度の文献検討で得られた知見の多くは、COVI-19対策開始初期段階のものが主である。COVI-19は、現在も感染拡大は継続しており、その対策は推進中の事案である。そのため、長期化する新興感染症対策時に保健師に求められる役割に関する知見を、引き続き収集し分析を継続する必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の文献検討を中心とした研究成果は、関連学術学会にて報告するとともに、次年度以降に実施予定の保健所保健師や、感染症エキスパートを対象としたヒアリング調査を行うためのインタビューガイドに反映させ、所属機関の倫理審査委員会の承認を得、次年度早々に調査を開始できる段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初計画していたインタビュー調査と並行し、新興感染症対策における保健師の役割や能力に関する最新の国内外の知見についても注視しながら研究を進める。 インタビュー調査は、今後のCOVI-19感染の動向によって、本調査対象の保健師や感染症エキスパートの協力を得ることが困難となる可能性がある。 そのため、調査時期、データ収集方法などについては、地域の感染状況の動向や、協力者の意向を考慮し、フレキシブルな対応を行うよう留意する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度後半は、ヒアリング調査を一部対象者に開始する計画であった。しかし国内における新型コロナウイルス感染症の蔓延が続き、実務保健師や感染症エキスパートに調査協力を得ることは困難であったため、調査協力に想定した予算経費が繰越残金となって生じた。これらの経費は、次年度に集中的に実施する調査経費(インタビューデータ逐語録、交通費、謝金など)として使用する。
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