研究課題
【研究の目的】脳卒中後に安全な移動手段の獲得は重要であり、移動は生活の質に直接影響を及ぼす。移動の獲得にはバランス能力が強く関与しており、リハビリテーションの現場ではその評価に短時間で可能な評価尺度が用いられることが多い。リハビリテーションにおいて評価尺度は、対象者の状態の把握、介入効果の検証、意思決定のために用いられる重要なツールであり、妥当性、信頼性、反応性、解釈可能性などの尺度特性が明らかとなっているものを使用することが望ましいとされている。解釈可能性は尺度得点に意味を割り当てることであるが、既存のバランス評価尺度において解釈可能性はカットオフ値が一部示されている程度で、十分な検討が行われていない。本研究の目的は、脳卒中者におけるMini-Balance Evaluation Systems Test (Mini-BESTest) とBerg Balance Scale (BBS) の臨床的に意義のある最小変化量 (MCID) およびバランス能力ステージを明らかにし、バランス評価尺度として標準化することである。【今年度の計画】①複数の研究協力施設で前向きにデータ収集を行う。②目標数を達した場合、MCIDを計算する。【研究の進捗と成果】①データ収集前にMini-BESTestとBBSのMCIDに関するシステマティックレビューが完了しアンカーや介入期間を決定することができた。また、システマティックレビューの結果は論文として公表した。②倫理審査委員会の承認を得て、各施設でデータ収集を開始した。③他疾患ではあるが後方視的にデータ収集を行い、BBSのMCIDを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
データ収集開始前に実施したシステマティックレビューが終了し、疾患や病期におけるMCIDの現状を把握することができた。本研究については各施設の倫理審査委員会の承認を得て、データ収集を開始している段階である。また、後方視的に収集したデータからBBSのMCIDを計算し論文として公表することができたため、本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる。
今後は、目標数までデータ収集を継続していく。
COVID-19により学会がオンライン開催となり旅費が生じなかったため。次年度は旅費および論文掲載料に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)
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