研究課題/領域番号 |
21K17461
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研究機関 | 人間総合科学大学 |
研究代表者 |
塙 大樹 人間総合科学大学, 保健医療学部, 助教 (00884032)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 運動単位 / 表面筋電図 / リハビリテーション / 動作解析 / 姿勢制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、体幹筋運動単位の興奮特性により同定された脳卒中患者の姿勢調節における神経変調パタンと、生体力学応答との依存関係を解明することである。最終的には患者計測を行うことで神経学に基づくリハビリテーションに寄与することを目指すが、本年度は健常成人での予備的検討を行う予定であった。 当該年度は計測システム構築について、複数電極から導出した筋電位をデジタル変換の際に同期させて取り込むことから始めた。下肢体幹筋の複数部位で計測した筋電位は、その時間同期性からいくつかの活動パタン(筋シナジー)に分類可能である。立ち上がり動作において、健常成人と急性期脳卒中患者ではこの筋シナジーの筋間構成比が異なることを明らかにした結果が、国際学術誌に1編公刊された。具体的には、重度麻痺患者では却って多くの筋の同時収縮パタンが強調され、動作の円滑な遂行を阻害していることが判明した。なお、複数筋電位の時間変化を数値に直すと行列で表現でき、この行列を活動パタンに集約する際に用いた手法は非負値行列因子分解である。この手法は、mm単位で格子状に電極を配置した多点表面筋電位から得た筋電位から、個別運動単位の活動パタンを検出する際に用いる独立成分分析と親和性が高い。申請者は先の手法から独立成分分析による運動単位分解のアルゴリズムを確立した。実際に健常成人に対してプレ計測を実施済みであり、次年度以降はデータ計測と解析、データ公表を順次進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型感染症の感染拡大状況により、患者計測は困難を極めたが、研究計画上は円滑に進行で来ている。当該年度は計測・解析手法が確立したため、後は患者計測に臨むのみであり、次年度の研究完遂の見込みは立っている。
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今後の研究の推進方策 |
健常成人に対してプレ計測を実施済みであり、次年度以降はデータ計測と解析、データ公表を順次進める予定である。併せて、患者計測を実施し、解析を同時進行してデータ公表に備える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入物品が当初見積もりよりも安価に購入でき、次年度成果発表の経費に使用するため。
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